1995年12月、思潮社から刊行された岬多可子(1967~)の第2詩集。
一九九一年から一九九四年に書いた二十九篇、わたしにとって二冊目の詩集である。会社勤めの二年目から五年目・結婚以前の期間ということになる。一冊にまとめてしまうと、みずからの書いたものから落伍してしまったようで、少しそわそわする。揺れている部分ばかりを、ことさらに掬ってきた感があり、みずからが書いてしまったものだから親しく思われるのは当然のこととしても、同時にひどく苦々しく思う気持ちも混じる。ともあれ、この一冊を、しずかに手放したい。
「SYBIL」に発表したものが大部分を占める。その他、機会を与えられて、「ラ・メール」「Mignon」「CASTER」「街角」「鱓」「詩学」「星期日」に発表したものをおさめた。
二十八歳になる今日、大きな嵐が、わたしの棲む半島を掠めて過ぎていった。
(「後記」より)
目次
- 草の棘
- 天の水
- 花の垣
- 春の貌
- 夢の力学
- 蜜
- 梨の角度
- 秋の脈
- 光の陸
- 後の翳
- 録
- 棲息
- 花の残り
- 声の感情
- 柄
- 冬の蜂
- 液果
- 匂い
- 光の河
- 聖九月
- 熱
- 花の来歴
- 彫像
- 短夜
- 異夏
- 熱の雫
- 夏の雨
- 暗い凪
- 湿潤期