1958年7月、私家版として刊行された鈴木喜緑の第1詩集。図版はゴッホ「椅子」モジリアニ「女」。印刷は斎藤庸一。著者は、中江俊夫、吉本隆明らとともに第1回荒地賞を受賞。
終戦から意識的に詩を書きはじめた、ぼくの主要作品のすべてをおさめる。
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「メチャメチャノ太陽」「モジリアニの女のまえで」及び一群のカーチャ連作は、一九四五年(終戦の年)より一九五一年頃までに書く。
「母」は一九五二年より二、三年にわたって書きつぐ。大部分を「荒地詩集」「詩と詩論」に発表する。
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この貧しい一冊の抒情詩集をまえにして語ることもない。女のひとの献身と正直さ。幾人かの友人の愛。パンのようにむしゃぶりついていったキリスト教と共産主義とロシャ文学と絵、それからの逃亡。その間に数多くの弱々しい職業遍歴がはさまる。
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若い未熟な母親が生み捨てた赤子のように、これらの作品は思える。
いまは目をつぶって、しばらく、この赤子の必死に上げる泣き声をきく。
(非常に悲しかった時、この泣き声が欲しかったことを思い出しながら。)
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この詩集の出版のすべては、詩人斎藤庸一の手に負う。つつしんで感謝したい。
(「あとがき」より)
目次
・メチャメチャの太陽
・モヂリアニの女のまえで
- 指
- ふうけい
- 或る時
- ドン・ファン
- 蠟のうた
- 失題
- おと
- 土くれのうた
- モヂリアニの女のまえで
・ゴッホの椅子
・死のうとしたあなたに
- 野ニ立ッテ
- マリア様
- 文字
- ――
- 道にて
- 秋の音の夢
- 死のうとしたあなたに
・カーチャの湖
・カーチャの歌
- カーチャの笑顔
- ことば
- 手
- 許して
- かなしみのカーチャよ
・母
- 或る時
- 或る時
- 或る時
- 母
- おばこ
- 母の話
- おばこ
- 我が家
- 或る時
・日本への復讐
- 風景
- 雑草の午後
- 汚れた竹
- 鼠
- 君は
- ぼくは
- 鶴
・接吻
- 悪い精神
- 接吻
- おなじく
- おなじく
- そっと
- おなじく
- 二度目
あとがき
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