1987年、ながらみ書房から刊行された田島邦彦(1940~)の歌集。装幀はサンブンノイチ工房。
『暗夜祭天』は、ぼくの単独歌集としては『晩夏訛伝』(石神井書林・一九八四年一月)につづく二番目のもので、歌の数は、前集とかわらず二○○首とした。第一歌集では四半世紀を一括りにする難しさがあったが、本集では三年間のすべての作品で勝負しなければならない厳しさがある。ひとえに評価は、読者諸賢の良識に委ねる他ない。もうこれ以後歌が書けないのではないかという不安の連続の中で、これまで何とか作歌を継続できたのは歌壇の方たちの優しい監視のおかげと思う。最後に、ぼくの我ままを聞いて下さった及川氏にただ感謝するのみである。
一九八七年二月
(「跋/田島邦彦」より)