1997年7月、思潮社から刊行された山口ひとよの第6詩集。装画は向井康子。
このたび、最近の詩に、かなりまえの詩を加えて小さな詩集を編むことに致しました。私の六冊目の詩集です。
私の第二詩集『薔薇贄』が一九七一年に刊行された頃、東京の「みや通信社」の社長の石川宮子氏から「地方紙に詩を書いてみませんか」とのお話しがありました。そのような経緯で、一九七二年から一九七九年頃まで、「秋田魁新報」と、「四国新聞」に、画家の絵と組み合わせた私の短い詩が時々掲載されました。
一九六八年に、恩師村野四郎先生の推薦文を頂いて、思潮社から第一詩集『復活祭まえに』が出版されましてからの長い歳月を感慨ぶかく思い起しております。そして、今日まで詩作を持続することができましたのも、多くの方々のお力添えによるものと、今、改めて、感謝の思いが胸に溢れてまいります。
詩集のⅠ部とⅡ部は、これら二紙に掲載されました三十三篇の詩の中から選んでいただきました。Ⅲ部は、詩誌「詩と思想」と、武田隆子氏主宰の詩誌「幻視者」と、松林尚志氏主宰の同人誌「方舟」などに掲載されたものです。作品「幻影」をのぞいて、この一、二年の間に書いた詩篇です。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 暗い季節
- カレンダー
- 雪雲
- つぶやき
- 冬の夜
- 海に降る雪
- こいのぼり
- 十一月
- 雪国にて
- シクラメンの花によせて
Ⅱ
- ある日
- みのり
- 十二月
- 坂道
- 目覚め
Ⅲ
- はくもくれん
- 夏
- ムクゲの花
- 幻影
- 夕やけ
- 逸脱の花
あとがき