1991年10月、宝文館出版から刊行された上田修(1915~?)の詩集。装幀は城尚衛。著者は東京生まれ、刊行時の著者の住所は品川区東五反田。
そして半世紀が過ぎ去った。
中野嘉一先生の「前衛詩運動史の研究」――モダニズム詩の系譜を何回も拝見しているうちに、自分も参加していた「マダム・ブランシュ」「20世紀」「新領土」の項のところで、ありありと若い頃の今は亡き友人詩人達が想い出され、彼等のタマシイのために詩集を捧げたいと思った。
そしてこのスープニールを詩史的に意味のあるものにするため、中野嘉一先生の序文がいただけたらなあと強く思った。
図々しくも先生に手紙を差しあげ序をお願いしたところ、おいそがしいなか先生は引き受けて下さった。この詩集「やがて誰も居なくなる」は先生の序文によって意味あるものとなり、体裁をととのえて姿を現すことができた。
その時代は自分にとっても、ポエジイを全身で生きていた、若い時代であった。
お元気である春山行夫大先輩、
今も健在である小林善雄、丹野正、服部伸六、大島博光、川村欽吾、堺謙三、江間章子の諸氏に、また宗孝彦や城尚衛にご挨拶を送りたい。
なお、池田時雄氏には「ぼへみあん」の誌上でこれらの作品の大部分に発表の機会を与えて下さったことを感謝する。
(「あとがき」より)
目次
- 序 中野嘉一
- ポアンの村の生き残り
- 佐川ちかへの追憶
- ポアンの村の夜
- 饒正太郎と伊東昌子
- 地上の秋
- 懐しの酒井正平
- 何でもお金に見える風景
- 西崎晋と中村千尾
- ハコネのハコネの湿原で
- 九州に帰った桑原圭介
- 再び伊東昌子が出てくるユメ
- 一寸先は闇
- 奈切哲夫の瞳
- ポアンの村の春
- わが友桜井八十吉
- 幽明の間
- 郵便配達の天使菊島常二
- やがて誰も居なくなる