1969年11月、木馬詩房から刊行された宮崎八代子(1939~)の第1詩集。装幀は奥田映子。著者は愛媛県生まれ、刊行時の住所は大阪府池田市。
喜怒哀楽のはげしい私を、いつのときも陰から見守り、愛しいつくしんでくださったひととの出会いがもしなかったならば、私はきっとさびしい可哀想な女になっていたでしょう。
詩に接し、詩を書きはじめてからのこの八年間の詩稿をまとめながら、周囲のひととのふれあいによって生じたさまざまな中傷や善意の相剋、私という個の世界の極限、それらを通じて社会機構にひそむ連帯性の大切さを識りました。
ひととの純粋なつながりによって真実の確かな愛にめざめ、その愛の芽を摘みとることのないように、詩に接するようなあたたかさで愛を成長させ、詩をおもうような優しさで、誠心誠意、真の仕合せの扉をひらいてゆきたいとおもう気持が、私にこの詩集出版を急がせました。
わがままな言葉や、憎しみのこころが飛散して、誰かの胸に突きささることのないように、この詩集を幸運のマスコットにして行かなければと思います。無限の空間に置き忘れていた素直さをとり戻しに、そして明日という未知の次元へ、ひとびとのあたたかな握手をもとめに、微笑を携えて出発して行きます。
(「あとがき」より)
目次
- 追憶
- 四季
- あぜかり
- 望郷
- 小さなウェット
- 願い
- みつめる
- 想い出
- 散策
- 飛翔
- おおさかのあめ
- わたしは私
- 生まれてよかったと思うように
- みつけた
- 見知らぬ day
- 夜あけの詩
- 眩暈
- 夏の日のおわりに
- 砂丘
- 春雷
- 旅のこころに
- 潮騷
- 溜息
- 人生
- 生きている人々
- 風に似て
- 約束
- 愛
- 道
- 来客
- 婦人と猫
- 秋芳洞
- 雪景
- 初春にひろう
- ふるさとが崩れた日に
- 旅にめざめて
姫だるまの世界 西岡 光秋
あとがき 宮崎八代子