1980年2月、東山書房から刊行された会田千衣子(1940~)の第7詩集。
サルトルの「聖ジュネ論」は、次のような(目も眩む)言葉を中心に論理を展開している。――彼が盗みを働いたから、彼が悪人だから彼は責められるのだ。そこで彼は同時に答える。「そうだ、ぼくは悪人でそれを誇りにしているのだ」、そして「そうだ、ぼくは盗みを働いた。これからも盗んでやるぞ」と。
この貧しい詩集も、その決意に倣ったものである。
詩集の題名だが、これにはマルキ・ド・サドの「ジュスチーヌ」物語、ロレンス・ダレルの「アレキサンドリア四重奏」の一部「ジュスチーヌ」がある。これらの小説の記憶が重なり合ってジュスチーヌという名の印象となった。(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- India Song
- インド
- 三位一体
- ひとりぼっち
- 教室に陽はもれて……
- 都会に河は流れ……
Ⅱ
- あるひとに
- ふたつの分裂
- 肉体(あるいは夢想)
- 枯葉の町
- サント・ジュヌヴィエーヴ図書館
- 夜の井戸
Ⅲ
- ムンクの花
- サロメ
- 晩秋――あるいはジュスチーヌ
- ギュスターヴ・モロー美術館
- 美少年
- 憂愁のモンパルナス
- 女(ひと)の愛
Ⅳ
- 聖像(メダル)
Ⅴ
- パリ
- レタス宇宙
- 飛ぶ木
- 帽子の気配
- とどく声
- 夏の夜、植物の声
- 水底の秋
- その夜
- 冷凍庫の空
- 冬の時間
- 木への時間
- ものたちと
Ⅵ
- 門へ
- 秋の忘れもの
- ドーラの耳
- 213号室の夢
- しだのはは
- 春の柩
- 月の石の記憶
- 石の時間