1987年11月、書肆山田から刊行された阿部岩夫(1934~2009)の第7詩集。
この詩集の先品は、一九八一年七月から一九八六年十月まあでの間に新聞や文芸誌、詩誌などに発表してきたものです。詩集としては、織詩『十月十日、少女が』(一九八六年・思潮社)につぐ七冊目です。この間、難病の悪化に伴い入退院をくり返してきました。ときには出血多量で危い瞬もあったようです。そのたびに逸脱してゆく己れの身体に出会ったのです。(「あとがき」より)
目次
- 皮膚と声
- この瞬
- 夏の手紙
- 遠からず来たらむわれの老いも死も
- 隣床のひとにかさなりて見ゆ
- 時間
- 夢に行く
- 病室で
- ペー氏の半身
- 死児
- 背に声
- 時間が「見える」場所
- 意
- 岸の底
- 帰巣
- 花祭
- 六月の闇
あとがき