1981年6月、小沢書店から刊行された吉増剛造(1939~)の第3評論集。装本は加納光於(1933~)。
目次
Ⅰ
透谷ノート
- 1螺旋階段を登ってゆく
- 2塔と川 夏目漱石の「倫敦塔」と「薤露行」
- 3清しい声の人
- 4機織れるをとめ
- 5心は空洞である
- 6わずかなひかりのなかで
- 7暗い川が流れている
- 8余は白状す
- 9われ歩して水際に下れり
- 10川一条は人界と幻界の隔てなり
- 11鬱蒼とした林の中で
- 12流れよ、流れよ、隅田川の水よ
- 13小息なき声を振り立つるが如く
Ⅱ
- 描かれた「奥の細道」――小野竹喬「奥の細道句抄絵」展
- ヒコーキの夢
- 子供の眼――芥川龍之介とエドガー・ポー
- いい樹のある風景
- 八百屋さーん
- わたしの中也さん
- 野球小説を読んだあとで
- ブラッサイ、未知のパリ、深夜のパリ
- 記憶の火照る日に――諏訪優さんのこと
- 熱くこみあげる海――高橋渉二
- 田村彰英の視界に
- 天窓の、影絵の世界――奈良原一高「IKKO'S AMERICA」
- 天使の時間
- 小林昭の写真をみる
- 秩父の「じゃらんぽん祭り」
- スタンリー・キューブリック「バリー・リンドン」
- 中西夏之の磁場を歩く
- 余白の浸蝕――若林奮
- 加納光於を書く
- 若葉印刷という所へ行間と「点」を見に行った
- 柳瀬尚紀氏の訳注――ルイス・キャロル「シルヴィーとブルーノ」
- わが、光り輝く、角――金関寿夫「アメリカ・インディアンの詩」
- 大岡信へ、一つの入口
- 天の声
- 言葉のふりと視覚のふりと
- 「白夜」のテープ
- 三陸沖
- 雪の故郷を訪ねて――山口哲夫
- 三千行の「歩行」の詩
- 冥府の入り口――そのstepのこと
- 縄文人の古里へ――渡辺隆次
- その外の島に移り住みたい
- 九州の角、沖縄の沖
- 新古今の葉裏にあるく
- 黒川能をみる
- 吉田一穂を読む
- 「螺旋形を想像せよ」――吉岡実
- 裏日本へ
Ⅲ
- 白眉の詩集――堀川正美詩集
- 鷲巣繁男氏の詩業
- 窓がひらき、空がみえた――井上輝夫
- 安東次男ノート――予感の折返し
- 深い闇にたつ詩人――鮎川信夫
- 内側から個を動かし規制するもの――石川啄木「ローマ字日記」
- 詩の発生する場所をもとめて――螺旋階段と霊の部屋