2011年7月、via wwalnutsから刊行された平出隆(1950~)の詩集。画は加納光於、造本は著者。
目次
- 物の名よ
- 眠ったまま本を
- 白い窓の枠に
- 逸れ鷹にそって1
- 咲きはじめたあたりから
- 身はふたつに
- 海へとひらく谿の
- 語の等間隔の滴り
- ひばり籠は吹抜け天井に
- 領分とは仮初めの
- 遠くで鳴る
- 樹枝状、垂直状、放光状、と列べて
- 呼び樋の外れた庭で
- 枝振りを撓めて
- 物の名はときに
- がたつと踏み割った音を
- 失われた縄の絵の
- あるがままの自分を
- 部屋へ日が射し込むように
- 枇杷の実のすつかり
- 形象と音律
- 俄かにはじまった雷鳴を
- 最悪の世紀を
- 幾重の分割に慣れ
- 朝露に汚れて
- 邪な仕掛けの釘を踏み抜いて
- 群れからの遠ざかりを
- 稲光りがして、盥の
- 一人のピタゴラス派も
- きみは親友
- 離れてあることと、衝撃と
- あれらは芽が
- 星からの手術刀が
- 火の山に入るや
- その夕べ、螺旋階段に
- 蒐めるとき並べるとき
- 葉は崩れ、幾千日