1957年9月、森の道社から刊行された板垣直子(1896~1977)の評論集。表紙は田畑一作(1915~1994)。
目次
序
- 1 文学概論
- 2 芸術と芸能
- 3 文学の種類
- 4 小説形態の分析
- 5 小説の背後
- 6 文学的感動の基礎
- (1) 心理学的な美意識の問題
- (2) 深さの感情
- (3) シラーによる官能と精神性との調和
- (4) ギョウによる美と社会的な倫理性
- (5) イギリス自然詩人の哲学的な神との帰一
- (6) 耽美主義者の官能的陶酔
- (7) トルストイのキリスト教的芸術観
- (8) ヘルダーリンの憧憬に高められた境地
- (9) リップスの人格主義的芸術価値
- (10) 実存主義者サルトル、及びカミユの不条理に生きる人間の闘争のすがた
- 7 文学の構成要素
- (1) テエヌの種族、環境、時代性の説
- (2) ウィンチェスターの情緒、想像力、思想、形式観
- (3) 夏目漱石のF+fの公式による文学論
- (4) 文学とはいかに定義すべきか
- 8 文学の発生
- (1) 心理学的、美学的に
- (2) 歴史的に発生をさぐる
- 9 戯曲とその発達
- 10 文学と伝説
- 11 宗教と文学
- 12 描写
- 13 近代における人間の発見と文学
- 14 心理形式とその発達
- (1) 初期心理描写の発現から十九世紀まで
- (2) 「新心理主義」を誘致した学問上の背景
- ウルフの新心理主義の特色。
- ジョイスの新心理主義。
- ラディゲの「ドルジェル伯の舞踏会」。
- マルセル・プルゥストの心理作品「失われし時を求めて」。
- 15 心理描写による人間の研究
- 16 性の扱い方
- 17 時代性と文学 実存主義文学に昂ずるまで。実存主義文学。
- (1) 緒論―実存主義の現われるまで
- 一、 第一次大戦以後の文芸思潮における新しい動向―時代と文芸との切実な結付きについて。
- 二、 思想的な背景、とくにハイデッガーとの関係
- (2) 本論―サルトルとカミユの作品(時代性との真摯な結付き)
- 一、 サルトルの歩んだ道
- 二、 「嘔吐」
- 三、 自由の道
- 四、 サルトルの技術の特徴について
- 1 ジョイスからの影響としてのモノローグ
- 2 時間的同時性の描写(ドス・パソスからの方法)
- 3 聯想の用い方におけるジョイスとの差について
- 4 名詞を重ねるかき方はヘミングウェイと共通
- 5 表現法の日常性
- 6 作品の重要な思想を数人の人物に分化する表現法
- 7 新人物のたえざる出現(ドス・パソスとの共通性)
- 五、 アルベール・カミユの歩いた道
- 六、 カミユの根本思想の解明書としての「シジフの神話」―実存の子人間の誠実なる生き方の表現
- 七、 「異邦人」
- 八、 「ペスト」
人名表