2003年9月、新潮社から刊行された谷川俊太郎(1931~)の詩集。
古い詩はもう十年近く前に書いたもの、新しいのは今年になってから書いた。その間に出した二冊『クレーの天使』『minimal』と違って、この詩集に収めた作は形も調べもさまざまだ。意図してそうしたわけではない。同じ土壌から匂いも色も形も違ういろんな花が咲くように、作者にも予想がつかないしかたで詩は生れる。そこに働く力は作者自身の力量を超えている。
「この詩で何が言いたいのですか」と問いかけられる度に戸惑う。私は詩では何かを言いたくないから、私はただ詩をそこに存在させたいだけだから。不遜を承知で言えば、一輪の野花のように。そうは問屋がおろさないのは分かっているけれど。(「あとがき」より)
目次
- 夜のミッキー・マウス
- 朝のドナルド・ダック
- 詩に吠えかかるプルートー
- 百三歳になったアトム
- ああ
- ママ
- なんでもおまんこ
- 不機嫌な妻
- 有機物としてのフェミニスト
- スイッチが入らない知識人
- 愛をおろそかにしてきた会計士
- よげん
- ちじょう
- ふえ
- 三人の大統領
- 鍵を探す爺さん
- 無口
- 私らしき男
- 広い野原
- 目覚める前
- あのひとが来て
- 雨のポカラ
- いまぼくに
- 些細な詩
- 忘れること
- 永瀬清子さんのちゃぶだい
- ひとつまみの塩
- 世界への睦言
- 五行
あとがき
初出一覧