2001年3月、思潮社から刊行された北川朱実の詩人論集。
この本に登場する十三人の詩人は、「読売文学賞」を受賞して天寿をまっとうした詩人を除き、二十代の終りに余命一年という胃癌の宣告を受けた女性詩人をはじめ、病苦に犯されたり、首を吊り手首を切って自殺したりしたひとばかりだ。志なかばで倒れた薄幸な詩人たちの苛酷な生きざま書きざまを辿りながら、著者はあたかも布教師のように、死後なおよみがえる不屈の詩的生命を説いてやまない。異色の詩人論。(「帯文」より)
目次
- 永塚幸司 私は船乗りやピアニストであるべきだった
- 清水正一 錆包丁一本研イデマンネリズムラ断ツ
- 天野忠 みえない座蒲団の上で
- 瀬沼孝彰 大切なことは 寒い時に どう歩くかではないでしょうか
- 相良平八郎 書けなくても書くんです のたうちまわって書くのです
- 氷見敦子 ブランド詩を蹴ちらし蹴ちらし
- 長岡三夫 田舎の親父東京へ来るな
- 南信雄 桶じゃないんだから タガなんかはずせ
- 谷澤辿 出不精で 口下手で 悪筆で 下し立ての下し金のように引っかかり
- 征矢泰子 のんべえだった。わがままだった。やさしかった。
- 本多利通 詩を書くという行為は 死の予行演習である
- 寺島珠雄 アウトサイダーだろうと ミツヤサイダーだろうと
- 佐藤泰志 揚げは揚げ わかめはわかめの味がした