1992年2月、思潮社から刊行された白石公子(1960~)の第4詩集。
とてもうれしい詩集ができあがりました。少し恥ずかしいのですが、前の詩集から十年も経ってしまった、ということになります。[I]は現代詩手帖(一九九七年五月号~一九九八年七月号)に連載したもの、[Ⅱ]はこの十年の間にさまざまな雑誌、新聞などに発表したものに手を加えました。
まとめるにあたって、この十年間、詩から遠ざかったり、あわてて近づいたりしたことをしみじみ思い出してしまいました。
結局のところ、私は詩を書いていない、とうしろめたく思って悪態をつく自分も、その焦りや苦しみも、一編の詩をやっとの思いで書き上げて、トロンとしてしまう自分も好きなのだ、と苦笑しながら思っているところです。
タイトルの「追熱」というのは、果実などを完熟前に収穫し、ある期間貯蔵しておいてその果実が熟すのを待つ、という意味があります。どうか食べごろでありますように。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
Ⅱ
- 忘我のブイヤベース
- テイクアウト
- 追熟の森
- 恋するフクロウ
- メロスの耳鳴り
- あの引き具のみる夢は
- ピアスの耳の裏側
- 土曜日の寝室
- ほくろの哀しみ
- あなたの内臓
- 怠慢な火事
- 夜はどこから
- 背ワタでござる
- 歯磨きあとのオレンジジュース
- 世紀末尾行
あとがき