1996年4月、土曜美術社出版販売から刊行された新延拳の第3詩集。装幀は司修。
いままでに二十数回の転居をしてきた。決して少ない数ではないと思う。いろいろな人に会い、少なからぬ街を見た。数々の道を歩き、たくさんの路地を徘徊した。
詩を書くことにより、いつでもそれらの場所に帰っていくことができる。また、まだ住んだことのない、将来居住することになるかもしれない街角を訪れることができる。
私にとって詩とは四次元を航行する時の穴であり、飛行船なのかもしれない。ただし、それは饒舌であってはならない。行間にかすかに顕ってくれれば、以て瞑す可しというところだろう。
多くの人に本書を捧げたいが、まずは母にということになるだろう。平成五年一月、母は交通事故に遭い頭を強く打ち、意識が戻らない。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- 手繰る
- 手毬唄
- 台風過
- MISSING LINK
- 流星のうた
- 列
- 麗子像
Ⅱ
- 椅子取り
- 樹霊
- 蹼
- 晩夏光
- 夭折
- STRING
- 今日の月
- 恰勤
Ⅲ
- ノルウェイの森
- 指の跡
- 小国の泰平
- ラビリンス
- 海鳴り
- 虹と少年
- バクシーシ
解説 杉谷昭人
あとがき