母の魔法 愛敬浩一詩集

 2015年6月、書肆山住から刊行された愛敬浩一(1952~)の第9詩集。編集制作は詩的現代出版部。詩的現代叢書7。著者は群馬県吾妻郡生まれ、刊行時の著者の住所は伊勢崎市。

 

 過日、久しぶりに中学校の同窓会に参加した。その時、以前、上毛新聞に載せていただいた私の詩を「読んだよ」と声をかけてくださった方が何人かいて、とてもありがたい気がした。というのも、自分自身の子供時代に触れたものや、郷土の風景に取材した作品がほとんどだったので、私の方も、まさに身近な人に読んでもらいたかったからだ。新聞だから、そのまま〈読み捨て〉でもかまわないのだが、まあ、同じ県内ながら、今は生まれ育った場所から少し離れた所に住んでいることもあって、まとめておいていいかもしれないという気持ちになった。必ずしも分かりやすくはない私の現代詩も、これで少しは風通しがよくなっただろうか。
 また、上毛新聞だけでなく、終刊直前の雑誌『上州路』に書かせていただいたことも、私にとってありがたいことであった。各編集者にも改めてお礼申し上げたい。
 冒頭の詩「通勤抄」は九州で刊行されている詩誌『侃侃』に載せていただいたもので、たまたま二十行の作品なので収録した。他に、上毛新聞用に書いたものの、結局、時期外れで載せられかったものを三篇ほどまとめて『東国』に発表した。
 ところで、所属していた詩誌『東国』の発行人・小山和郎さんが先年、亡くなった。身近な詩人を失って、前途茫々たるものがある。
 今回、たまたま機会があって、第二次『詩的現代』という詩誌を樋口武二さんと始めて二年ほど経ったが、このことは私の詩にどういう影響を与えてくれるだろうか。
 跋文と写真を、田口三舩氏にお願いした。氏は、一九三〇年生まれ、詩誌『潮流詩派』、総合文芸誌『風雷』等を経て、群馬詩人クラブ代表幹事などを歴任し、現在は高崎現代詩の会会長をなさっている。詩集に『まだ見ないもの』(一九九六年・あさを社)や『予兆』(二〇〇〇年・紙鳶社)があり、ユーモアとペーソス溢れる作品が印象深い。
(「あとがき」より)

 


目次

跋文 詩集『母の魔法』に寄せて 田口三船

あとがき


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索