超える影に 畑中良輔詩集

f:id:bookface:20201224151945j:plain

 2002年2月、不識書院から刊行された畑中良輔(1922~2012)の第1詩集。著者は福岡県門司市生まれ。音楽家

 

 私の最初の詩集である。
 幼い頃から詩人か小説家になりたくて、学業はそっちのけ。文学書を読み耽っていたが、いつの間にか音楽家になってしまった。それでも何とか詩みたいなものは時々書いていて、今それらを読んでみると、まさに噴飯ものであるが、その中から何とか少しひろい出してみた。
 ここには昭和十二年、中学三年の頃からのものから始まっている。この頃はシュールレアリスムに凝っていた頃で、特に私は春山行夫の尖鋭な詩論に傾倒し、作品としては北園克衛西脇順三郎に熱中した。滝口修造の著作も熟読した。当時、季刊で《詩と詩論》が最前衛の詩論を展開しており、これらの叢書は今なお新鮮で刺激的である。この中学三年の時から前衛自由律短歌(当時は”新短歌”といった)の「短歌と方法」(逗子八郎主宰)の同人に加わり言語感覚を磨いた。木原孝一同人に加わっていた。
 この頃、全国の文芸同好の中学生たちで作っていた同人誌「星眸」が創刊され、以来毎号作品を寄せた。この詩集の最後の「油絵とデッサン」は中央の文芸誌「若草」の全国同人誌評の中で、「アポリネールふうの雰囲気を狙ったものだが、地方の中学生の作品としては~垢ぬけしたもの、といえる」との評がのせられた。
 この詩集の「超える影に」は三善晃、「四季の歌」は中田喜直、Ⅱの四篇は大中恩の諸氏により作曲された。
 この一冊を編むについて、詩友相澤啓三氏、また出版に当って不識書院の中靜勇氏の御世話になった。この欄を借りて御礼を申し上げたい。今後、少し時間が出来るようになったら、また次の一冊を編みたいと思っているのだが……。なお、作品によっては旧仮名を新仮名に書き直したものもある。
(「あとがき」より)

 


目次

  • 超える影に
  •  水
  •  光
  •  海
  •  山
  • 四季の歌
  •  春の歌
  •  夏の歌
  •  秋の歌
  •  冬の歌
  • 牧歌
  •  春の墓
  •  麦笛
  •  風
  • 哀傷
  • 天の罠

  • 地球ってヘンですね
  • サッちゃんの家
  • 乗物
  • 散歩

  • Elegy
  • 抒情歌
  • ふるさと
  • 青い旅行
  • はながたみⅠ
  • はながたみⅡ
  • きしゃにちゅういせよ
  • REQUIEM

  • えちゅうど

  • ごけさんぶね
  • 油絵とデッサン

創作年と初出及び出演者
あとがき


NDLで検索
Amazonで検索
日本の古本屋で検索
ヤフオクで検索