1982年12月、青磁社から刊行された八代信(1942~2020)の詩集。表紙写真は山形弘善、デザインは内田麟太郎。著者は群馬県下仁田町生まれ。
いま電話すれば、ねむり声ですか。それとも、コインランドリーから帰って、キュンキュン、どこかへの腹立ち声、むけてきますか。昨夜の酒がまだ残っていますが、ようやく、あとがき、になりました。で
あとがき
この詩集には、この数年の散文詩をあつめました。他に"おちこぼれ"もかなりあるのですが、自分なりに気にいっているもの、だいたい、ばらばらにならない、ひとつの傾向をあつめたつもりです。
しかし、こうしてみると、ずいぶん書きたいもの、書かねばならなかったものを、残してきた、という無念さが先にきます。
いずれにしろ、これだけのものです。
けれども、やはり、九州は遠い。声もまた、遠いのです。夜のせきは、だいじょうぶですか。タバコをすいすぎていませんか。髪はのびましたか。何より、きちんと食事をしていますか。
いずれ、いちど太宰府に行きたいと思います。梅の季節のときにでも。そのときまでに、少しでもふとっていて下さい。では、また。
一九八二年一一月。
(「Kへ。あとがきふくめて。」より)
目次
Ⅰ
- みどりまみどり
- わたしは気がつよい
Ⅱ
- からすひとこえもなく
- 雪小屋にて
- 雪道
- まみどりのことばはけるか
- 日のくれ
Ⅲ
- 秋一日
- 決意
- 謀議
- 和風喫茶「田園」風談議
- 転向
- 酔えば柳か流れ月
- きてないよオシンコ二つ
- さわらなければ損
- 女いっびき大地をいく
- ぼくはやさしく
- 風もしらけて
- 一件落着―「田原坂」風景
- フッフッ
あとがき
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