1982年9月、近代文藝社から刊行された岩崎直哉の詩集。
詩稿は印刷すると、まるで他人の作品であるかのように見ることができるので、予想外の晶化に自己満足する愉しみがある反面、印刷自体を後悔したり、例えばテニオハの一字の使い方の不用意が、折角の演奏を壊すミス・タッチとなっているのを発見する危険もあるので、それを避けるために、この詩集には全て諸誌に掲載したものから選択することにし、精神の遍歴を辿ることができるように、作詩時の順に従って古いものから新しいものへと配列しました。
「俤」は故片山敏彦先生などが中心になって発行されていた詩誌「花冠」に掲載していた
だいたもので、それを除いて「金色の泡沫」から「生と死」までは、山室静先生により「近代文学」に掲載していただいたものですが、「肖像」以下は全て詩誌「オルフェ」に発表したものです。
片山先生が訳されたドイツの詩の美しさに更めて感嘆しては短かい追憶と深い感謝を新にすると共に、私が、十何年の空白を置いて詩作を再開して「オルフェ」に参加したことを、心から悦んで下さった山室先生の半生を越す実に長い間の厚情に、言葉でいえばかえって空々しくなることを恐れるのですが、人はやむなし、言葉をもって感謝する此頃です。
人生も此所に来て思うことは唯詩業の巧拙成否は何うともあれ際会に優るものはないと。
(「あとがき」より)
目次
- 金色の泡沫
- 花を手にする男。
- 俤
- 別な旋法
- 一羽の鴿
- ハンガリア詩篇
- 死と生
- 肖像
- アケロンテ
- ハープ
- 星
- 私のダンテ
- 私のヘルダーリン
- 母と子
- 哀歌 葡萄酒色の花崗岩の板を置くとも
- 私のジェロニモ
- 私のファティマ
- 紫と白の花
あとがき
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