1955年2月、詩世紀の會から刊行された佐藤東北夫の第1詩集。画像は裸本。
佐藤東北夫(むつお)は、鈍重な野獣である。自分で、そう思っている。
この鈍重な野獣は、ネオ・リアリズムより出發した。が、まるなく『詩世紀』にはいり、以後そこで詩作を繰けて來た。この間、『詩世紀』に反逆的であった。
『野獣祭典』は處女詩集である。
これには一九五三年一月から一九五四年九月までの作品三十五篇を収めた。そして作品を三つに分類してみた。その三部には、前後の作品と關連して讀んで戴きたいるのも含んでいて、それぞれに孤立したものではない。自分の詩歴回顧より割り出して、便宜上三部に分類してみただけである。
(「あとがき」より)
目次
はしがき 服部嘉香
第一部 青い幻想
- 憂愁海底
- 戰跡
- 獨酌の錯覺
- 黑い火の肖像
- Grand Piano
- 靑い幻想
- ないやがら風景(夏の日の錯覺)
- 廢墟の暮色
- 暴風雨
- トンネル
- 無線電報
第二部 現代の朝
- 十國峠の夏
- 地球の裏側の僕の影
- 萬里の長城
- 精神病院の女患者
- 斷崖を落ちて行つた一塊の僕
- 孤獨は背廣のポケットに兩手をつつ込んでゐる
- 机
- 憂愁の斜線
- 現代の影
- 紫靈歌
- 水死者
- 色彩批評と明暗
第三部 小竒術の假面
- 音樂の色彩
- ガラスについて
- その裂目は白い
- 幻想
- 都會の朝
- 朝のえのぐ
- チョコレート色の短靴
- 時間の原色
- 透明なガラス
- 不眠症
- 靑い影
- 小奇術の假面
- スケッチ・ブック
あとがき 佐藤東北夫