2001年3月、紅書房から刊行された野村玉江(1936~2009)の第2詩集。
私が第一詩集『日本列島星屑町にて』を上梓したのは、一九七〇年六月のことであった。実に三十年の歳月を経て、今回、第二詩集『宇宙からの青い手紙』を出版することになった。
姉と妹ともいうべき、この二冊の詩集なのだが、校正刷りを読みながら較べてみて驚いた。若書きの詩三十篇の中の二、三行のところに、特に言葉の青っぽさを見い出したが、全体として、私の詩作工房の同じ胎盤から産出された詩篇達であることの、まぎれもない痕跡があり、まるで本当の姉妹のほくろの位置から笑い方までそっくりの二人に出会ったような「錯覚」さえ感じたのだ。
ここに収めた二十二篇の詩のほとんどは、即興的に書かれたもので、言葉自身が、早くお役に立ちたいと互いに競って飛び出して来て、ほしいままに産ぶ声を上げる有様で、あれよ、あれよという間に仕上がってしまったというのが、実情である。その勢いに呑み込まれ、詩の持つ体内リズムが、時として飛び撥ねたり、散り散りになったりしているかの如くであるが、止むを得ない。
寸分の隙間もなく無機質の情報で埋めつくされた現代社会の生活の中にあって、手造りの、活字になった自分の詩の世界と親しく対面出来るのは、私にとって、この上無い悦びである。
(「あとがき」より)
目次
・手紙1
- 光の領地
- 一通の手紙
- 祝盃の夜
- 初恋の頃
- お伽の国の議会見学
- 治療院にて
- フリーマーケット。
・手紙2
- 渇望する魂
- 生贄
- 悦楽園
- 恐怖についての分析
- 瞬間の王
・手紙3
あとがき
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