2008年9月、思潮社から刊行された御庄博実(1925~2015)の詩選集。著者は岩国生まれの医師。列島
『ふるさと―岩国』の詩集を届ける。
岩国で育ち、広島で被爆した僕には、世界遺産「宮島」をもつ広島湾は僕の火祭の場であった。
一九三八年、中学二年生の僕は岩国・錦川下流の三角洲・川下開作で海軍飛行場建設の緊急学徒動員をかけられていた。その海軍飛行場は敗戦で米軍に接収されて、本土唯一の海兵隊航空基地となった。朝鮮戦争、ベトナム戦争を経て、いま極東最大の海兵隊航空基地になろうとしている。
原爆投下を受けた広島の近々三十キロの隣町といってよい。
基地の地下弾薬庫には核弾頭が蓄えられているという。原爆慰霊碑の二十五万の慰霊に、岩国生まれの僕はなんと声をかければよいか。 詩集『ふるさと―岩国』には、僕の第二詩集から岩国にかかわる「少年期」三篇を、また、処女詩集『岩国組曲』からは飛行場建設から敗戦までの五篇を再録した。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ
- ふるさと
- 錦川で――ふるさとⅡ
- 花の香り―――ふるさとⅢ
- 校庭で――ふるさとⅣ
- 「怒」のうた――ふるさとⅤ
- 今津川のほとりで――ふるさとⅥ
- 基地変貌――ふるさとⅦ
- 夫の絨毯――ふるさとⅧ
- 宮島――ふるさとⅨ
- 岩国遠漕――ふるさとⅩ
- 岩国基地――ふるさとⅪ
- 骨になって――ふるさとⅫ
Ⅱ
- 大応寺池――少年期Ⅰ
- 城山――少年期Ⅱ
- 蝶――少年期Ⅲ
- 掌上の繭
- ワイングラスの向こうに
- 河をわたる
- 幻影――岩国組曲Ⅰ
- 戦火――岩国組曲Ⅱ
- 別離――岩国組曲Ⅲ
- 傷痕――岩国組曲Ⅳ
- 烙印――岩国組曲Ⅴ
- 白骨
あとがき