1998年11月、詩学社から刊行された奥津さちよ(1947~)の第4詩集。装画は針生夏樹。著者は横浜市生まれ、刊行時の著者の住所は横浜市泉区。
美しくなりたい。美しいものを見たい。と思う。現実は泥のようで、巨大な岩のようで、様々な感情にさいなまれるが、詩を書くことで、消化、浄化されていることがある。
前詩集から七年目。「舟」「戯」「こだま」「泥水」「詩学」に載せたものをまとめた。詩を書くことを止めようとしたこともあったが、幸か不幸か、私に詩は必要だった。今は、一冊にできて素直に嬉しい。
今回は、病後の忙しさを縫い、古くからの友人、先輩である、国文学者、竹野静雄氏より身に余る跋文をいただいた。地域や大学で教材に使うなど、ずっと背中を押してくださったことにも、ここでお礼申し上げたい。促してくださった詩学社と、支えてくださいました多くの皆様に、深く感謝致します。待っていてくれる読者があるならば、届きますように。
(「あとがき」より)
目次
- 崖
- ブタが飛ぶ絵
- 捕獲 あるいは
- テントで探す
- キューバの砂糖
- おひゃくしょうさんが
- ペト口に手紙を書くときは
- 辞書
- ロープウェイ
- 首都マドリッド
- コイン
- 遺跡
- 駅
- 鍵
- 突堤
- 山道
- ひとつの石に
- 飛び込むまでの十一分
- 沈黙する器
- 通る、朝
- 統計学
- 地図から森が
- 涼しい水
- 六月
- 迷彩日
- さわろうねこ
- 蝶
- 春ヘ
- ハンス
さちよ詩の余響 竹野静雄
あとがき