1978年6月、青蛾書房から刊行された暮尾淳(1939~)の第1詩集。装画は馬場章。
一九七三年以降の、ぽっぽっと書いてきた二十一篇をあつめて詩集にしました。ほとんどが『コスモス』や『プラタナス』に発表したものですが、今回手を入れたものもあり、それらを創作順にならべました。
こうして読み返してみますと、どことなく逃げ出したくなるような恥ずかしい気持がしないではありません。しかしその恥ずかしいというおもいや自我の未熟さに向き合わずしては、到底、これからの一歩を踏み出せないという気持もたしかにあり、この詩集をまとめてみたしだいです。
抒情のリアリズム、しばらくそんなことを考えていました。
跋文はいそがしいなかを秋山清さんが書いてくださいました。秋山さんには、状況に身をさらして、自分の目でものを視ることのむずかしさ、その大切さばかりでなく、山川草木のことも教えてもらいました。とりわけ詩は己れのために書くということの意味が、おぼろげながらわかってきたことで、感謝しています。
(「あとがき」より)
目次
- 恋唄抄1
- 恋唄抄2
- 夏の海
- 夢
- 雨
- 郊外の駅で
- ある日のサイゴン
- 病室
- 雨空の底
- 柳絮
- 備後落合
- 街頭風景
- 冬の日
- 港にて
- 塀
- プールサイドで
- カレンダー
- めし屋のみ屋のある風景
- ポスター
- 病院の庭
- 月見草