1977年5月、青磁社から刊行された近野十志夫(1946~)の第2詩集。装幀は西川一男、イラストは伊藤よしひろ。著者は東京生まれ、刊行時の住所は江戸川区。
早いもので第一詩集を出してから六年もたった。僕はあいかわらず戦争を知らないことに苛立ちを感じたまま三十歳の大台にのってしまった。そこで、六年間書きためた作品の約七割を切り捨てて、あえて『戦争体験なし』の続編といった意識でこの詩集をまとめた。
僕は自分の生きた時代に執着していて、何としても僕らが生きたという証しを残したい。へたな詩でもいいと思う。それを一里塚としたい。
僕は写真を撮るのも大好きだから、僕の写真も何か言えることがありそうだと思ってページをさいた。何か感じとってもらえたら写真も満足するだろう。
(「あとがき」より)
目次
・報告1
・報告2
- 夕陽
- 海岸、鳴く
- 労働
- ん? 波
- 稲束のほし方
・報告3
- 戦後より一つ年が下
- 僕・戦争・少年
- 江戸川
- 黒い水たまり
- オオヨシキリの夏
- 土のありか
- 大地を作る
- 呪い
・報告4
- コンニャク通勤
- 地下鉄通勤
- 遅刻
- 業務命令
- 僕は権力を持たない
- ひらべったい世界
- 四半分の世界
・報告5
- 京都のひと
- 祭りと桜宿膳
- ネギ談義
跋 城侑
あとがき