2002年8月、夢人館から刊行された星野元一(1937~)の詩集。装幀は直井和夫。著者は新潟県生まれ、刊行時の住所は十日町市。
ヒトの暮らしや足どり、が気になっている。
戦中戦後、地域や家庭を支え、子どもたちの心までも形づくった民具たち。彼等は今居場所を追われ、博物館の中にいる。手がモノを作っていた時代の、最後の物語となって。ひっそりと会いに来る数少ない人たちのために。
今さら埃のたつ話は迷惑だろうが、モノには時どき虫干しが必要なのである。 そこで、彼等のお出ましを願ってみた。世界は新しければいい、というものでもないだろう。現代はまだ半世紀しかたっておらず、歴史の答にはなっていないのだ。
作品は、二〇〇〇年から二年間、個人誌「かぎゅう」に書いた民俗記シリーズを中心に、「詩学」「詩と思想」「詩人会議」「銀河詩手帖」に寄せたものから選び、加筆してまとめた。その名称や内容を知らない世代のために、注記を付けてみた。「衣食住婚葬」と章立てしたのは、その鎮魂として、「モノたちの青春」物語を描いてみたかったからである。
(「あとがき」より)
目次
・衣
- シメシ
- ネンネコ
- 袖
- 首巻
- 夜着
- 張板
・食
- 米櫃
- 釜
- 鍋敷
- 石臼
- 膳
- ワッパ
・住
- 筵
- 縄
- 釣瓶
- 火吹竹
- 柱
・婚
- ホオズキ
- 風呂敷
- 蚊帳
- ユタンポ
- 袋
- ドブロク
・葬
- 大八
- 桶
- 重石
- 棒
- 提灯
- 地蔵
あとがき