2015年9月、書肆侃侃房から刊行された川野里子(1959~)の評論集。装幀は宮島亜紀。著者は大分県生まれ。
目次
はじめに
一 出発について
- 1 七十年の孤独 第二芸術論の今
- 2 文脈と批評の力
- 3 短歌の「他者」 挿話1 幽霊
- 4 否定論を抱く詩型
- 5 「前衛短歌運動」の深部
- ①「前衛短歌」の「動機」
- ②「虚構」と「凝視」
- ③「時間」軸の創造
- 6 言葉の錨を求めて 「戦後」という思想 挿話2 羊たちの家
二 源について
- 1 郷愁と記憶を超えて 「国民の精神的な共有財産」論を考える
- 2 「黒峠」としての故郷 創られる「日本」と「故郷」
- 3 女歌の古代と現代 挿話3 桜の祝祭・桜の暴力
- 4 「日本」と刺し違えた人 山中智恵子と言葉の戦後
- 5 「母」の戦中、戦後 神話化、沈黙、誕生
- ①「産めよ殖やせよ」の時代
- ②「神話」としての「母」たち
- ③「産むな殖やすな」の時代へ
- ④「母」の誕生 挿話4 明日の綺羅
三 今について
- 1 むしろ「語られぬ文語」の問題として
- 2 文語と口語 時間の文体・無時間の文体 挿話5 空間と格子
- 3 文語の創造 『遠野物語』と茂吉の調べ
- 4 文語という人間表現
- 5 文語の力
四 未来について
- 1 言葉の「全電源喪失」の後を
- 2 あえて「時間」について
- 3 手段を読むのか、目的を読むのか 挿話6 真ん中
- 4 「虚」の弾力と「リアル」の切実
- 5 〈われわれ〉なき〈私〉 「現代」は本当に始まっているのか?
- ①〈私〉の今
- ②〈われわれ〉の不在
- ③〈われわれ〉の発見
- ④今は「現代」なのか?
- 6 〈私〉を揺さぶる若手歌人たち 脱近代の試み
- 7 「ありがとう」と言う者 渡辺松男の〈私〉
あとがき