2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

甘い声 清水哲男詩集

1979年、アディン書房から発行された清水哲男の第9詩集。 時間がない。自分を自分らしく時間が。 だから、詩を書いたりするのか。自分を自分らしく生きるとは、制度のなかでせいいっぱい、狂気の側に身を寄せることなのではあるまいか。最近は、そんな思いに…

夏の淵 三好豊一郎詩集

1983年、小沢書店から発行された三好豊一郎(1920~1992)の第6詩集。 言葉に対するカンが鈍ってきたのに気づきはじめたのはよほど以前からだが、六年前おやじの老後を看取って、死に至る最後の十日間を、刻々に腐ってゆく生ける屍が生命を停止した直後の、…

にぎやかな街へ 八木忠栄詩集

八木忠栄の第三詩集。装幀は宮園洋。私家版。1972年発行。 ここに収めた作品は一九六四年から一九七一年までのあいだに書いたもののなかから選び、制作順に配列した。『きんにくの唄』(思潮社刊)『目覚めの島』(グループぎや刊)につぐ三冊目の詩集である…

存在 高野喜久雄詩集

1961年、思潮社から刊行された、荒地同人高野喜久雄(1927~2006)第2詩集。解説は鮎川信夫(1920~1986)。 ゆくりなくも一つの言葉がうかぶ。 詩は存在の追憶である。 大切なのは、詩と存在と追憶が、一つの脈絡の中にあることである。「存在は追憶の詩で…

土建屋懺悔録 佐藤洋二郎

1999年、シングルカット社発行。佐藤洋二郎の11冊目の著書。挿画は川名京。 指導者はなにによって指導者たらしめるか。いろいろな要素はあると思うが、わたしは「言葉」を持っている人間が一番だと考えている。「言葉」によって自分の思いを伝える。あるいは…

ピエロの唄 竹下彦一詩集

1975年、ギャラリー吾八から発行された竹下彦一の詩集。俳号は「洋燈亭」。柔道八段。 川上澄生さんが逝くなる少し前に、サーカスの唄とピエロの唄の二冊の詩集を、出版仕様と思ひ装幀をお願ひして、サーカスの唄の方は色刷りの扉迄出来たが、ピエロの唄は「…

遠いあいさつ 日原正彦詩集

2000年、土曜日術出版販売から発行された日原正彦の第9詩集。日原は「橄欖」の同人。 序詩 うつせみ 眠りに入るときの葉ずれの音めざめて聞く枯葉の音 生まれてひとつの青い夢のなかへ呼びこまれ死して 現つの全量の軽さを知る 目次 お元気ですか お元気です…

やつさもつさ 獅子文六

1952年、毎日新聞の連載小説。新潮社発行。装幀は小穴隆一。1953年に映画化されている。 目次 豊年の兆 三十而立 めずらしき花園 慢性虚脱 港の春風 あの道この道 柿若葉 横浜の志士 羽蟻 忘れた歌なら思い出しましょう 雨の季節 馬車道にて トンネル太助 志…

増補疾走の終り 支路遺耕治詩集

1970年、構造社発行。ビート詩人と言われた支路遺耕治の詩集。写真は今井祝雄と高岡和弥。 目次 未刊詩篇 堕もしくは序説の構図 黄金の腐飾あるいは復活まえの敗走Ⅰ 黄金の腐飾あるいは復活まえの敗走Ⅱ 批判序説・空間の敗走 連作Ⅰ 序説 連作Ⅱ 序説 疾走の終…

TAIWAN  龍秀美詩集

2000年の第50回H氏賞を受賞した龍秀美の詩集。発行は詩学社。 待望の第二詩集しかも前著「花象譚」の神秘主義的抒情の世界を越え、台湾――ひいては中国、東洋のなかにおのれのルーツを探ろうとする力強いエネルギーが秘められている異色の詩集である。著者は…

失意の神たち 堀口定義詩集

1982年、思潮社から発行された堀口定義(1914~)の第4詩集。 この詩集の内容は、主として欧州の旅行に際して現代人の神々への対応と社会の現状について受けた印象をまとめたものである。(「後記」より)) 目次 神頽れる神神のものは人間のもの豊穣の神フ…

海で朝食 水橋晋詩集

1980年、神無書房から刊行された水橋晋(1932~2006)の第1詩集。装幀・挿画は藤林省三。 海とのかかわりのなかで書いた作品をまとめました。これらの作品は、畏友江森國友氏の個人雑誌「南方」への同人としての誘いがなかったら、おそらく書かれなかったで…

ガリバーの質問 清水昶

1993年、五柳書院から発行された清水昶(1940~2011)32冊目の著書。1988年から1993年までに発表された44の短いエッセイ。 ある時代、ある思想に、慣れあうことを、きちんと拒絶することは大変な個人的な「仕事」である。今日のゲンダイシが、ちっとも面白く…

詩集 挑め 防波堤 古平義雄

1966年、思潮社から発行された古平義雄の第四詩集。1957年から1965年の間に創作された18篇。作者は1929年、浅草生れ。VOU、ATTACK等に所属。 長い人生の間には、詩精神がやたらに燃えたり、やたらに冷えたり、いろいろな時期があってもよいのではないかと、…

桜病院周辺 岬多可子詩集

2006年、書肆山田から発行された岬多可子(1967~)の第三詩集。第37回高見順賞受賞。 書くという情念の持続こそが、詩人としての才能なのではないか、と思うことがあり、その情熱を手放しそうになる脆い自分を、諦めに近い気持ちで見つめるしかないこともし…

春の海のうた 山村暮鳥童謠童話集

1941年、教文館から発行された山村暮鳥(1884~1924)の童謡童話集。編者は中柴光泰、装幀挿画は高瀬勝男。 巻頭の「春ともなれば」は下のお嬢さんに書いていただいた。はるかな美しい追想である。標題の「春の海のうた」は童謡の一篇の名からとった。 次に…

母系の女たちへ ペッパーランド編

1992年、現代企画室発行。秋山江都子、岡島弘子、前田ちよ子、山本楡美子、水野るり子の企画・編集。17人の女性詩人による詩とエッセイ。詩のテーマは各人の母親や祖母たちなどのことが中心。エッセイ集『母を語る二十三人の娘たち』の続編。「血縁という枠…

詩人の夏 西脇順三郎と伊東静雄 城戸朱理

1994年、矢立出版から菊地信義装丁シリーズの7冊目として発行された城戸朱理の講演録。1993年6月、立川市幸公民館の企画で行われた連続講演会の「夏」の部。「春」は秋山駿による「中原中也」、「秋」は正津勉による「秋のアンソロジー」、冬は川村湊による…

凍えた耳 瀬沼孝彰詩集

1996年、ふらんす堂から発行された瀬沼孝彰(1954~1996)の第三詩集。 ぼくらは日々、自分たちの生活の向こう側にあるマイナスの極を遮断されて生きている。ものの腐敗する形や匂いを遠避けられたままだ。しかし、人は光の中でのみ生きる訳ではない。闇が精…

すれちがい夫婦 獅子文六

1959年、新潮から発行された獅子文六のユーモア小説。1957年に発行された『夫婦百景』の続編にあたる。装幀は三岸節子。 目次 すれちがい夫婦 竹とマロニエ 因果応報 おいらん女中 ヒゲ男 伯爵選手 見物女中 文六神曲編 歌舞 金剛遍照 かれ毎日欲情す NDLで…

山本陽子遺稿詩集 山本陽子

1986年に発行された山本陽子(1943~1984)の遺稿詩集。編集は坂井信夫と中村文昭。発行所は坂井方。 ・目次 詩篇'66~69 よき、の、し 視られた、もの、うた 「し」と間隙 原覚 Ⅰ 原覚 Ⅱ よき、の、し Ⅱ 遺稿 ・別冊目次 神の孔は深淵の穴 山本陽子 陽子へ …

ペタルの魂 木島始詩集

1960年、飯塚書店から発行された木島始(1928~2004)の第3詩集。解説は大岡信(1931~2017)。 木島始の詩はとっつき易いものではない。これは詩だけにとどまらず、彼の小説でも少年文学の創作でも、いや翻訳でさえも、そうだといえるかもしれない。 この文…

ユーモアの鎖国 石垣りん

1973年、北洋社から発行された石垣りん(1920~2004)の第一散文集。 私のわずかな散文の、どれが、いつ北洋社の櫛野義明さんにめぐり逢ったのでしょう。 こんど一冊の本にして下さるというので、はじめて名刺をかわし、打ち合わせをかさねるたび「アルナラ…

風が吹くと 吉野弘 詩画集

1977年、サンリオから発行された吉野弘(1926~2014)と池田勝彦の詩画集。 美しい絵のある詩集、コンパクトでハンディで、若い人たちに読んでもらえそうな一冊の詩集――そういう本をつくってみたいなとかねがね思っていましたが、池田勝彦さんのすてきな絵に…

就航者たち 中江俊夫詩集

1987年、詩学社から発行された中江俊夫の第13詩集。 NDLで検索Amazonで検索日本の古本屋で検索ヤフオクで検索

春の画の館 金井美恵子詩集

1973年、思潮社から発行された金井美恵子の第3詩集。挿画は姉の金井久美子。 残酷な童話 金井美恵子の詩集は、題名からも予想されるように、あるときある場所に建っている不思議な館の年代記風な骨組みに託して、性的主題を展開したものである。館のあるじは…

日の底 菅原克己詩集

1958年に飯塚書店から発行された菅原克己(1911~1988)の第二詩集。 ……さて、菅原克己、詩稿を携えきたりて、僕に解説を求む、光栄なりといえど、その任にあらざるをいかんせん、まことに人生字を識るは憂患の始とかや、貪人眼前を思い富人来年を思うという…

思潮社35周年記念 「現代詩手帖」32年史 「現代詩文庫」総目次 詩壇ジャーナリズム側面史

思潮社が会社設立35周年を記念して制作した176ページのアーカイブ集。非売品。1991年12月24日印刷。現代詩文庫は100番の「平出隆詩集」まで。 日本の古本屋で検索

絵本「永遠」 新川和江詩集

1959年、地球社から刊行された新川和江の第2詩集。挿画は山本蘭村。 目次 生について ECHO 死について 孤独な出発 早春 犬 眠られるぬ夜 ありふれた略図は 森へ行く 紙片 期待 永遠 山本蘭村 画 誕生 扉 るふらん 絵本「永遠」 地上 繊い夜 Ⅰ留守番 Ⅱ臆病 Ⅲ…

ナイト・ハイキング 瀬沼孝彰詩集

1992年10月、ミッドナイト・プレスから刊行された瀬沼孝彰(1954~1996)の第2詩集。 目次 Ⅰ Sの街 新宿の桜 夕陽まで 約束 コンクリート・リバー さかがみ Ⅱ Mの街 街の底で ウエイト セブン・イレブン・ベイビーズ たそがれの家で ナイト・ハイキング Ⅲ …