1982年5月、思潮社から刊行された飯島耕一(1930~2013)の詩集。第1回現代詩人賞受賞。
「宮古」「上野をさまよって奥羽を透視する」の二詩集は何と言ってもある見晴しをもって書くことのできた詩集でした。しかしこの詩集、とくに長詩はそうした見晴しをこわそうとする意図のもとに書いたようです。断片を何とか繋ぎとめて一世界をつくろうとしました。解体寸前の詩と何人かから指摘されましたが、そのとおりだと思います。うまく書こうとしてはいけないとつねに心掛けたように思います。裂け目、形のととのわぬところ、欠陥部分にこそ、未見の詩が宿ると思いたいわけです。背後には今日の核時代の不安があると思います。(「『物』の威厳――あとがきにかえて」より)
目次
Ⅰ 詩とナマズ捕り(長詩をはじめるための七篇)
Ⅱ 長詩 夜を夢想する小太陽の独言
- 1(海のきれはし)
- 2(煙をつかむ手)
- 3(少林寺という禅寺の小高い丘から)
- 4(「ゆめのしゃしんき」)
- 5(小太陽は)
- 6(《おばさん クワガタ》)
- 7(一人の ランニング・マン)
- 8(ダブリン の 日 を 想う)
- 9幕切れ口上
Ⅲ 太陽の音(詩集をゆるやかに終らせるための七篇)
「物」の威厳――あとがきにかえて