1997年7月、ふらんす堂から刊行された金井雄二(1959~)の第2詩集。装幀はささめやゆき。刊行時の著者の住所は相模原市。
毎日必ず詩のことを考え、いい詩を書くためにはなんでもしよう、と心に誓って歩いてきた。そして、今夜こそは生涯最高の詩を一篇!と思いながら鉛筆を握ってきたのだ。だが、そうして力めば力むほど、満足したものが書けるわけでもない。たまには力をぬいて、風通しをよくしなければならないことにも気がついた。
というわけでこの第二詩集には、肩肘張らないものばかりがおさめられているかというと、そうでもない。詩はいつでも生の淵源を模索しているものでもあるし、それがすべて軽く書けるわけでもないと思うからだ。
ただ、ぼくのこの詩集を読んでいただいた皆様にはおわかりだと思うが、あとがきから先に読む人もいるだろうネ)なんの統一性もないぼくの詩も、ひょんなぐあいに二篇ずつ抱き合わせると、ひとつの形をあらわしてくれた。幼少から青年へ、そして結婚、老人にいたるまで、ぼくは詩のなかで全篇生きてみたかったのである。
さて、タイトルの「外野席」だが、これは「堀内投手がそこにいる!」の一行の中からとった。詩集というスタジアムの外野席から、ゲームのような人の一生をぼんやりと眺めている自分がどこかにいるし、なによりぼくには、安くて遠いがホンワカとしているその席が似つかわしいように思えてならないからだ。
沈んでしまいそうなぼくの詩を、やさしく包んでくれたのは、画家のささめやゆきさんだ。どうも有難うございます!
そしていつも背中をおしてくれるのは、家族をはじめいろいろな人たちのやさしさかもしれない。
(「あとがき」より)
目次
- 空の向こうに
- 堀内投手がそこにいる!
- ほわほわと何だかあったかい
- 川原
- 声、のする
- 星を見てみたい
- 夜空に入る
- だからやさしく噛んでみたりもした
- 自転車ペダルの正しいまわし方
- 途上
- バナナワニ
- 山桜
- 杉の樹の大木の
- 明日の朝食
- 深夜と呼ぶ時刻に
- 日曜日に
- 夏のテーブル
- 歩いて手紙をだしに行く
- 最近やっとわかったことがある
- してみたいなぁ
- 原っぱに風が吹くと
- はじまり
あとがき