1985年10月、れんが書房新社から刊行された阿部岩夫(1934~2009)の第5詩集。装幀は宮園洋(1942~2001)。第4回現代詩人賞候補作。
この詩集の作品は、一九八二年一月三十一日から一九八三年一月十五日mでの間に日記体連作「旅の夢に踞る軀」として書いたものですべて『四』に発表したものです。詩集としては、『月の山』(一九八三年刊)につぐ五冊目です。
『四』は鈴木志郎康さん、藤井貞和さん、八木忠栄さんらと一年間二十四回、月二回発行していた同人誌です。編集発行は、書肆山田の鈴木一民さん、大泉史世さんの尽力によるものでした。
この間、私はなぜか、親しい人の死に多く出会いました。それだけではなく、私自身も病気がちで、十月には入院するという、悪い状態に襲われたのでした。
死を書いていくなかで、多くの人の力をかりました。そのひとり、今は亡き黒田喜夫さんに、この詩集をささげたいと思います。(「あとがき」より)