1975年10月、白川書院から刊行された諏訪優(1929~1992)のエッセイ集。写真は諏訪維理、装幀は駒井裕二。画像は76年12月の第2刷。
ここに集められたのは、これまでにあまり肩を張らずに書かせてもらったさまざまな文章である。
いわば、わたしがいまも断続的に書きつづけている日記の延長といった小文ばかりで、あらためて読み直すのが気はずかしいものもすくなくない。そのときどきにわたしが感じたことは一見多方面にわたっているようではあるが、実は同じ何かを手を変え品を変えしながら、書くことによって考えているようなところがあるように思った。
おそらく今後もわたしはそんな歩きかたしかできないだろう。
唯一の救いは、長い論文や、ことによったら詩以上に、わたしの本音やはだかの姿がこれらの文章には出ているかもしれない、ということである。はだかで哂すことをあまり恐れなくなったのはごく最近である。
旅の記録のようなものがもっとあるかと思ったら意外にすくなかった。その方はどうやら詩に凝縮するらしく、詩集『アメリカ・その他の旅』(一九七三年)や近刊の『旅にあれば』がほとんど旅の詩であることでみずから納得がいった。(「あとがき」より)
目次
- たとえば一九七四年五月
- 宇宙時代
- スポーツと青春
- 裸体の世紀
- 深夜の映像
- ある会話
- 怪獣ブーム
- 鬼子母神のケヤキ並木
- ジャズとフォークーソソグ
- 春ちかし
- 地方文化
- イギリス人
- 春の詩
- マネキンの運命
- 夢の打撃練習場
- 髭
- 武士道
- 春の一日
- 五月の亡霊
- オタマジャクシ
- 母の日 雑感
- 風雨順時
- マス釣り
- 詩の朗読
- パンクチュアル
- 雨とタバコ
- 近代の寓話
- 弟のこと
- 南京豆
- キス・バッジ
- このままでは地球は滅びる
- 旅について
- 高速道路とは何か
- 日本列島は病んでいる
- 鏡の中の自分
- 人間のための道
- つぶやいてみたこと
- 秋にむかって
- 愛の表現
- ユーモアのこと
- さりげなく示す愛
- 冬の木の実
- 詩の朗読会について
- 長いトンネルをぬけて
- ギンヤンマと共に
- 赤トンボ
- 歯痛について
- 私の卒論
- 海をすする
- ネコとわたし
- べべ、帰る
- カゼをひいたペレとべべ
- ネコもまた夢をみる
- 動物たちの午後
- ネコのお産
- 赤ん坊とは何か
- ビートの世代について
- アンディ・ウォーホールの世界
- 『かもめのジョナサン』
- ギンズバーグの人気
- ギンズバーグの変貌
- W・C・ウィリアムズの手紙
- ソローと現代
- シンガー・ソングーライター論
- ビート禅と、われわれと、禅
- アングラ文化とスラング
- あるカレッジの運命
- 『死霊』との出会い
- あの頃の吉本隆明さん――「荒地」以前
- ロス・マクドナルド――推理小説の楽しみ
- 山野浩一の内的世界
- 山室静論の周辺
- 心優しき詩人山室静さん
- 立原えりかさんのこと
- 安房直予さんと海賊船
あとがき
初稿発表誌紙ひかえ
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