オカルト 秋山基夫詩集

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 2007年3月、思潮社から刊行された秋山基夫(1932~)の詩集。

 

 わたしはこれらの詩を文学的営為として書いたので、そのように読まれることを願っている。唐沢俊一氏は「漱石とオカルト」という文章で、カーラジオから聞こえてきた怪談の朗読に引きこまれ、ゾクゾクするような感じで聞いていたところ、終了後のアナウンスでそれが「こころ」の一節だったことを知り、「漱石のあの文は、怪談の口調を意識して書いたのではないか」と思ったと言う。さらに敷衍して寄席における落語の語りが漱石の作品に影響していると言う(「ユリイカ総特集怪談」八月臨時増刊一九九八年所収)。わたしは、漱石文学の力についてあらためて知っただけでなく、三遊亭円朝の「真景累ヶ淵」を読んだときの怖さをも思い出した。文学の力はやはり文体の力だと思う。
 いくつかの詩には、表現に直接関係する参考文献を記したが、「源氏物語」のようなよく知られた書物は記さなかった。これらの詩は「大朗読」グループの定期朗読会(第六回二〇〇五年六月~第十二回二〇〇六年十二月)において、執筆順に朗読した。
 活字の刊行物では、次の五篇を除き本書が初出である。「浮遊」(「ミッドナイトプレス」二八号二〇〇五年六月)、「記憶」「冤罪」(「DOGMANSOUP」一号二〇〇五年六月)、「梟首」(『平成の詩画集Ⅲ」吉備路文学館二〇〇六年十月)、「異端」(「どぅるかまら」一号二〇〇六年十二月)。
(「あとがき」より)

 

目次

  • 異端
  • 水行
  • 記憶
  • 侵襲
  • 発火
  • 浮遊
  • 冤罪
  • 虚栗
  • 青蠅
  • 鉄人
  • 散乱
  • 修行
  • 毒露
  • 梟首
  • 夫婦
  • 緑青
  • 黄金
  • 転生

あとがき


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