1953年12月、小牧博士古稀記念詩集刊行會から刊行された小牧健夫(1882~1960)の詩集。
今度私の青年時代からの詩をこの一巻に編んで出版することになったのも、ひとへに諸友の好意と援助によることを思へば、いま刊行に際して更めてここにふかい感謝の意を表しないではゐられない。
ことしの春私の『ヘルダーリン研究』出版を祝ふ會を古稀壽賀の意を含めて催さうとする話が諸友のあひだに起り、その際また詩集刊行のことも相談されたと聞いて、私はそのすべてが自分にとっては分にすぎたことと思ひ、辭謝するほかはないと考へたのであるが、結局は諸友の慫慂の切なるままに、一切をその好意に委ねることになったのである。
自分の詩の載つてゐる古い雑誌のうちには散佚したものが少くなく、やうやくのことでその大部分を蒐めることができたが、舊作を一應讀みかへしてみて、稚拙なものばかりの中からこれだけの分量を選び出すのに苦心した。ただ私としてはこれらの作品をつくつたそのときどきの記念として、追懐のたのしさにはげまされて、この一巻をまとめることができたのである。
冒頭の『小雀』は明治三十五年一月の『文庫』に載つた。それから『拔錨』に至るまでは學生時代の作にかかる。以下はその後稀に折にふれて作つたものがいつか相當の分量に達したうちから抄出したのである。
これらの作の發表された雑誌は『文庫』、『藝苑』、『詩人』、『帝國文學』、『女性時代』、『蜂鳥』等であり、そのうちの數篇は『改造社版、日本文學全集。明治詩歌集』、『青海波』、『文庫詩集』、『日本近代抒情詩集』、『現代詩大系』などに収録されてゐる。
(「あとがき」より)
目次
- 小雀
- 燭の火
- 落ちる薬
- 山管
- 廢園
- 磯の庵
- 嵯峨物語前記
- 飄遊
- 曠原
- 山驛
- 故徑
- 月夜ばら
- 白水郎の歌
- 雲珠櫻
- 磯の夢
- 驛車
- 抜錨
- 古沼
- ふたりの幼な兒
- 盲目の樹
- カプリの眞晝
- ヴェニスにて
- 月下香の花
- 朝の散歩
- 夜の街
- 草月夜
- 歌はぬ人
- 心裏風景
- ある時
- 梅雨空
- 無限
- 行く秋
- 行く秋
- 瀧のとどろき
- 私の言葉
- 苔寺にて
あとがき
小牧健夫略歴
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