1977年11月、青磁社から刊行された小宮隆弘の第3詩集。装幀は朝かをる、題字は内田博。
この詩集をまとめおわった日は、八月十五日、三十二回目の敗戦記念日であった。恒例になった戦没者追悼式の天皇の言葉を夜のニュースで聞いた。その日の”夕刊フクニチ”の社会面に「戦傷者への”療養手当”生活保護費より安い/”不合理”に泣く寝たきり旧軍人」の見出しで、病床の旧陸軍一等兵をつうじて告発がなされているのをよんだ。
第二詩集以後のものから自選してみたが、三度目の恥さらしになった。生き恥である。
身近かなよき師であり、常日頃ご迷惑ばかりかけている内田博氏の骨折りによって、この第三詩集を出版することができたが、序文をいただいた第一詩集、そして今回も大変なご苦労をかけてしまった。ただ感謝するばかりである。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰほんに さむかね
- ほんに さむかね
- 牛ドシ
- 飲み屋にて(1)
- 飲み屋にて(2)
- 初冬の夜に
- めさき
- クリスマス イブ
- かえってきた夜
- 秋の夜なが
- 不眠の果て
- 惑い
- ガード附近
- 冬至
- スリップ
Ⅱ磯にたたずむ
Ⅲそして 八月
- とおいむかしの 三つの記憶
- 三月の忘れ雪
- 無題
- 戦友会にて(1)
- 戦友会にて(2)
- 加害者
- 海風
- 懐古
- 莫然たる季節
- 夏の碑
- 夏の碑について
- 長者番付発表
- ゴム林の奥で
- 石ころのように
- 夏の式典
解説 小宮隆弘小論 内田博
あとがき