1988年8月、潮流出版社から刊行された村田正夫(1932~2011)の第14詩集。カバーは豊田一男。著者は東京生まれ、刊行時の住所は中野区鷺宮。
この詩集は、私の一四冊目の詩集である。
このところ三年連続で、八月一五日に詩集を出している。その日に、意識的にこだわっているわけだ。あの八月一五日がなければ、私の詩は存在しなかったのだから、当然といえば当然である。戦争のとき少年だった私には”戦争と少年”を主題にした作品が多い。一四冊の詩集を振り返ってみると、かなりの数になるだろう。と思いつつこの詩集もまた、そういう一冊になってしまった。いつも思うことだが、少年のときには予想し得なかった長生きをしてしまった。平和のなせる仕業である。人生五十年。私などはいまだにこの言葉に沿って生きている。つまり五十年を越えたらいつ死んでも不思議ではないということだ。それでは生きているうちに、ということでのこの一冊でもある。
書名の『遠イイ戦争』は、直接にはイラン・イラク戦争を風刺しているが、詩集全般としては、やはり、いまでは遠くなったあの戦争である。
(「あとがき」より)
目次
- 赤い花
- 少年は描いた
- 僕の村は戦場だった
- 椰子の実
- 満州事変勃発の日
- 察哈爾盟
- ガーデン・イールズ
- 運動会開会式
- 戦争のとき野球は
- 遠イイ戦争
- 兵馬俑とヴィヤベース
- ゲルニカ
- 五月と書かずに五月を<五月の詩>
- しとしとは ひとひと<六月の詩>
- 恋は 革命は?<七月の詩>
- お大事に!<八月の詩>
- カクタクサン歌
- 紙に包んで捨てましょう
- 復活
- 正倉院宝物
- 後楽園球場にて
- 雪
- 梅
- 立ち枯れ池から河童橋へ
- まだいる
- 5震度さんへ
- サンシャイン国際水族館
- 日本橋三越屋上
- 深夜の寝返り
- どちらへ?
- 鷺宮元録田舎気分
- 江利チエミ
- イングリッド・バーグマン
あとがき