2019年12月、ミッドナイト・プレスから刊行された武内健二郎(1950~)の第1詩集。インスタレーションは「亜空間」(窪田順)、装幀は大原信泉。著者は兵庫県佐用郡生まれ、刊行時の住所は神戸市東灘区。
身体が、何かに気づいて、何に気づいたのかわからぬまま、それはまだ形もなく誰のものでもない。私はこの身体に宿り、その何かがいつか、言葉として浮かび上がってくるのを待っている。
ニュートンが林檎の落下に遭遇した時、それは見ただけではなく、眼を通して身体の中を林檎が落下し、形のない何かに気づいたのではないだろうか。しばらくしてそれは数式という形で姿を現わす。その数式を理解した人の身体はニュートンへ繋がり、林檎の落下をあらためて生き生きと受け止めたのではないだろうか。
身体が気づいた誰のものでもない何かは、いつか私の言葉となって浮かび上がり、ポロリと外へこぼれ落ちる。私が誰かに、繋がることを願いながら。
(「あとがき」より)
目次
Ⅰ 四角いまま
- 採寸
- あくび
- 舌
- 体位
- 凹凸
- 封切り
- つまさき
- ぎっくり腰
Ⅱ 遠く見つめて
- 金魚
- おとしもの
- 夕陽
- 子供を受け止めたのは
- 遠く 見つめて
- 沈黙について
- サカサカサカ
- 蝶
- レゴ
Ⅲ 茄子を煮るひと
- 右
- 大阪行
- 口笛
- ひとりごと
- 茄子を煮るひと
- 玉葱
- 五月の風
- イルカ
あとがき