1983年9月、沖積舎から刊行された江間章子(1913~2005)の詩集。装画は海野経、装幀は前川直。
いまは、イランとの戦争のため、他国人が、容易に入国できそうもないイラクへ、私が旅してから、十年余過ぎた。
<死んだ駱駝><アガサの亡霊>の二篇の他は、未発表の詩である。そして、<薔薇多ケレバ>と<詩人>はバレンシアーガの紹介者でも、研究家でもめられるM氏に、<モー口の女詩人……>は、古く<アルハンブラ物語>を全訳されたというB氏に、おおくりしたい。お二人からは、ときにお心こもったご書簡をいただくけれど、お会いしたことがない。
ここに収めた詩は、私の心の奥で、二十七年かけて眠っていたワインのようなものを、夜光杯ならぬ<イラク>という杯に注いだものである。
(「あとがき」より)
目次
- 死んだ駱駝
- アガサの亡霊
- ウルの王女
- 1今宵だけは
- 2月が昇るまで
- 3地平線まで
- 4ノアの洪水よりも
- 5胸飾り
- 6呪われることのないよう
- 7終章 胸飾り2
- 薔薇多ケレバ
- ジプシー女のように
- 砂塵舞う市街
- 楽器・56
- 太陽が沈むまで
- 鍵
- ジンジャーの花の想い出
- 螺旋階段
- 手紙を届けてください
- 乞食
- 詩人
- すべてテラコッター
- アラブの町
- 風景
- バスラ
- <モーロの女詩人>といわれて
- ティグリスはチャドルを脱ぎ捨てる
あとがき