花の記憶 岩田京子詩集

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 1964年12月、私家版として刊行された岩田京子(1937~)の第1詩集。刊行時の著者の住所は杉並区天沼。

 

 書くことは幼い時からのわたしの願いでしたが、ある時はためらいのために、また、ある時期には日々の忙しさに紛れて、その願い失っていました。
 けれど、最近になって、はじめての詩集を編むことを考えつくと、もう思いとどまることが出来ませんでした。
 この二、三年に書きとめた詩を、ここに収めました。初めの頃の、形の定まらないようなものも、捨て切れずに収めてあります。
 途上にあるこれらの詩のひとつでも、あなたのお目にとまったら、どうか、あたのお傍に置いて、慈んでやって下さい。
(「親しいひとに」より)

 

 

 

 これらの詩を綴っていた数年間、私を支えてくれたのは、ごく僅かな作家や作品との巡り合いであり、彼等との、ひそかな、限りのない対話でした。
 そのような生活の中で、もし消えないものがあるのなら、あるいは、失われるものの中にこそ美しさがあるのなら、それをとどめたいという願いが次第に育って行きました。
 それは、手に余る仕事で、これ迄沢山の人達が願い、試み、そして滅びて行った跡を、私もまた至らない身で夢みているのかもしれません。
 「花の記憶」は、婦人公論に投稿して、昭和三十七年七月号の「詩」欄に掲載されたもので、これをこの詩集の題としました。
 また、この詩集の出版については、八並誠一氏から数々の助言を頂いたほか、印刷等についても御配慮頂きました。
 厚くお礼を申し上げます。
(「あとがき」より)

 

 


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