1973年5月、国文社から刊行された勝連敏男の詩集。
死を憎むひと死に逝きて撓む夏生き滅ぶ裔と国獄のみち
唖の馬ある夏不意に駆り死ぬ隠し村びとみな滂沱たり
幻の<クニ>が滅べば堕ちざるに極寒の島の落人磔刑
婚姻の百夜めぐればクブラ割り殉難ちかきシジフォスの死
神送り美しき夢魔飼い殺す花系(はな)飢え知るヘ<クニ>に影もつくらずこの詩集の上梓は、国文社編集部の田村雅之氏、詩人黒田喜夫氏の勧めと、上地国秀・静子夫妻、宮里敏子さん、それに宮里美智子さんの励ましと助力に依っております。この良き人たちに幸多からんことをお祈りおります。
(「あとがきに代えて」より)
目次
- 羽根のある祭り
- 亡霊の村
- 遊撃の貌たち
- 喪失の時
- 鏡の中の蛇
- 視姦症吃りの男
- おお十字架と……
- 渇望・挽歌――生への架設
- 愛・死者の出発
- 蒐集家の遺産
- 間引かれた欲望
- 毒素・針のビジョン
- 遅れて来た者に裁断を
- 花冠
- 永い休暇
- 形而上の時計
- 愁訴に鞭を!
- 無への没頭は可能か?
- 叫び!
- 卵の霊?
- 薔薇MMへ
- 変身或いは予感
- 磔刑
- 訣別
- 美し聴し幻
- 薔薇あるいは樹系
- 埋葬
- 鏡・棘・受肉
- 無冠の孤愁
- 供宴
- 蜂あるいは瓶
- 果肉
- 裏切り
- 場処
- 歩行
- 島の棘はやわらかく
勝連敏男の詩へ 黒田喜夫
あとがきに代えて
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