1992年10月、皓星社から刊行された加藤三郎(1910~)の詩集。装画は石川吉郎、装幀は藤林省三。著者は秋田県生まれ、1948年に栗生楽泉園に入所。刊行時の住所は吾妻郡草津町。
泣きごとを云うよりはと思い、友だちから短歌を習い、まだ小さい四人の子供たちを抱え貧しい生活(くらし)を続けている妻子を題材にして、作り始めたのは昭和二十八年でした。
だが三十一文字の短歌に入りきれない字余りの歌が多く、では字数の多い詩を書いてみようか、と始めたのは昭和三十年頃だったと思います。
当時友だちから「二足草鞋」と笑われましたが胸の内に溜ったモヤモヤしたやりきれない気持を詩に短歌にと吐き出すことで、日頃いいたい泣きごとを作品として「高原」誌に発表し悩みを喜びにかえられることを知ったのです。
このたび私の拙い詩集出版に際して、小林名誉園長先生から身に余るようなよい序文を頂き心から感謝申し上げます。
村松武司先生には永年に亘っての御指導と詩集刊行に当って何から何までいっさいお引受け御世話して頂き誠に有難く心より厚く御礼を申し上げます。(「あとがき」より)
目次
序 栗生楽泉園名誉園長 小林茂信
・詩 僕らの村
- 面会のおっさん
- 貫さん
- 青い空がみたい
- 「あなたがたは幸せですか」
- 甦ッタ面影
- 古傷
- 夜
- 雨が降る日
- 慰霊祭
- 妻の言葉
- 風花の季節
- 外燈の下で
- 雪と幼い頃
- 五月三十日
- 旅に立つ君を送って
- 追憶の影
- 隣人
- 霧のある風景
- 閉ざされていた痛み
- 寒い日の朝
- 僕らの村Ⅰ
- 隠れん坊
- 雪の中の畳
- ある夜の電話
- あの日も蝉が鳴いていた
- ある余韻
- シャボン玉
- 彼岸花
- 疼みの中で
- あなたの死に思う
- ある散歩
- 雪が降っています
- ある雪の日
- 花の季節
- 私の収穫
- 見守って下さい
- 恩田地蔵の由来
- タンポポの花
- 僕らの村Ⅱ
- 陽気のせいか
- 忘れ物
- 藤本松夫氏を偲んで
・短歌 妻に捧げるうた
あとがき
解説 どんな村か? 村松武司:
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