1956年1月、書肆ユリイカから刊行された堀内幸枝の第2詩集。表紙カットは池田龍雄。画像は函欠本。
この詩集には「紫の時間」以後一九五三年――一九五五年の間「パンポエジー」「近代詩猟」「作家」「詩学」「葡萄」「新論」に発表した作品を収録しました。
こうして一冊に纏めてみますと、岡崎清一郎氏、岩本修蔵氏を始め、それぞれの編集者には何時も温かな心遣いで、私の風変りな詩作態度の上を自由自在に駆けめぐらせて頂いたことを、改めて感謝せずにはいられません。
思えば女の宿命というものが絶えず外部の圧力で変化するのに対し、絶対に生活の作用を受けつけない地帯を構築し、そこに自分の生存を思うまま転移してみたいと思って書きつづけましたが、これ等を詩と呼ぶべきか、なが年小説とも詩とも云えぬ怪しげなジャンルの間になやんだ私の悲劇をさらすのに、結局は名称もなく、再び詩集といたしました。
(「あとがき」より)
目次
- 私の塗り絵
- 赤いカンナ
- 不思議な時計
- ゆがんだ絵
- 窓
- 最後の画布
- 昏い湖
- 沼地
- 影
- 波打際
- 湖畔から
- 蜃気桜
- 風の蔭
- 過失
- 想い出
- 初秋のころ
- 地上
- 雨
- 人間解体
- 悪疫
跋(詩人の世界)大岡信
あとがき