1971年10月、詩学社から刊行された粕谷栄市(1934~)の第1詩集。装幀は林立人。第2回高見順賞受賞作品。
この私の初めての詩集におさめた作品、四○篇のうち、三○篇は、一九五八年から一九六八年までに、私の書いた作品のおよそ三分の二である。残り一○篇は、二年の中断ののち、新たに詩を書きはじめた一九七一年一月から三月までのものである。三人の人間とのめぐりあいが、私が、詩を書くことを知る契機となった。否、或いは、生きることへの端緒のごときものを。幸運であった。そのことのほかに、私が、自分の詩について言うことはない。ただ、私にとっては、これらは、私の生活の止血剤の
ごとき役目を、少しはした。ここに詩集にまとめる理由にならぬ理由である。
(「あとがき」より)
目次
- 邂逅
- 暴動
- 脱走
- 死と愛
- 動物記
- 水仙
- 犯罪
- 喝采
- 残酷物語
- 鯨または
- 顔
- 碇泊
- 海峡
- 旅程
- 坑道
- 堤防
- 刑罰
- 甲板
- 「世界の構造」
- 啓示
- メルサコフ氏病
- 櫛
- 偸盗
- 幽霊
- 銃殺
- 塀
- 夏と橋
- 狂信
- 拷問
- 反動
- 人形
- 湖畔
- 礫山
- 箒川
- 射撃祭
- 孤島記
- 漂流記
- 枯野
- 卵
- 愛妻
虚構のリアリテイ 石原吉郎
あとがき