2016年4月、ふらんす堂から刊行された手塚敦史(1981~)の第5詩集。
あることの悲しみのため、小さな字で書き込んでおいたわたしとは、誰か誰でもないものを指す一人称なのかもしれない。小さな字で書き込んでおいたあなたとは、誰でもない誰かを指す二人称なのかもしれない。何を指す訳でもなく、わたしは単数。あなたも単数。ナズナとナズナ。近づけて行く耳たぶで、鳴らした。
三月二四日
(「あとに」より)
目次
- ひかりは、カスタネット
- 恋人達
- 友達
- 色の名
- 河川敷
- 拒む
- ナンテンの赤い実
- シュウカイドウの花の中へ
- 再訪
- 家
- 夜
- 名はセカンド
- しずくに寄せる
- 接触
- 点と線の、歌
- 高さ
- カエデの髪飾り
- あきの日
- しず気
- ふゆの読書
- かたち
- 空ける、あける、
- 石になるには
- 方位
- スイエバ・ギター
- 枝を折る
- 層
- みづゑの木に
- 色彩感觉
- 小路
- 車窓から
- ポケットの綿埃
- 季節のためのエクリ