1997年10月、松本工房から刊行された寺島珠雄(1925~1999)による小野十三郎(1903~1996)評論集。装幀は奥野章。
去年、一九九六年の十月八日に小野十三郎さんが亡くなった。まもなくまる一年という日にこのまえがきにとりかかっている。
小一年の間に、小野さんについていろいろな文章を私は発表した。生前最後の詩集となった『冥王星で』(92年エンプティ)から、著作集(91年筑摩書房)、全詩集(79年立風書房)その他に遡って小野さんの仕事に私はかかわりつづけた。そして去年十月八日には、肉親とともに医師の宣告を聞いた。
発表してきた文章は、そういう位置にいた者としての、直後の報告、追悼から、やや日数を経て書いた論証、回想や、人前でしゃべった時のテープ収録の活字化である。
(「別冊由来記(まえがき)」より)
目次
別冊由来記(まえがき)
・追悼
・在りし日ノート
- 小野さん寸描
- 健康測定の夫妻論争
- 小野十三郎展余話
- 好きな風景(小対話)
- 「日本前衛芸術年表」
- 辻潤と小野十三郎
- 戦中の本十冊
- 小野さんのオシャレについて
- 四月十一日のこと
- ワーグナーと小野十三郎と『コスモス』
- 堀切直人評論集『日本脱出』
- 始祖鳥その他
- 「ピストル二丁」に関する断想
- 或る〈党〉の外周のこと
- 未遂と自足
- 報告と感謝
- 法善寺 小野十三郎の夢の跡
- 『都市の詩集』への疑問
- 著作集の訂正削除
- 『新公報』
- 『MIANIA』まで
- 七月多事
・没後ノート
年譜、没後事項
関係主要雑誌表紙写真と解説
初出控
あとがき