1961年2月、日本未来派から刊行された鈴木正和(1931~)の第2詩集。
第一詩集「季節の楽章」を出版してから四年余りたちました。その間に、時間の中に生き苦しみ滅びていく人間を追って、十数篇の連作「流れ」を書き、この詩集に収録された作品群に到りました。ぼくはこれらの作品において、比較的に身近かな動物たちを、できるだけ複眼的に見詰め、即物的に取扱うことによって、人間の実存的な存在像を描き出そうと試みて来ました。また、技法においてもぼくなりの工夫をして来ましたが、意図したことが作品の中でどの程度果されているかは、今のぼくにはよく把握できないでいます。
ただ、自分の生きている確証を得るためにも、新たな脱皮のため日日にも、詩集「蛇」の出版は、ぼくにとって必要であると思っています。
作品の配列は制作順には関係なく、作品の性質上、二つの部分に大別しました。
(「覚書」より)
目次
Ⅰ
- 蝙螂
- 蝸牛
- くさかめむし
- 蓑虫
- 蝶
- 蜘蛛
- 蟋蟀
Ⅱ
- 蝙蝠
- 蛇
- 鴉
- ひとで
- 水母
跋 大龍清雄
覚書 著者