1968年12月、私家版として刊行された空大助の遺稿集。空大助作品集第三輯。揮毫は山本一二三。付録栞は、岩下俊作「空大助の風貌」、実政次雄「追想記」、星野定義「田川追想」、松本国雄「空先生のこと」、出光昭介「空先生の思い出」、宮内澄夫「忘れ得ぬ人」、空大助忌案内。
生前、夫はもう一冊創作集を出したいと申しておりました。しかし、それは思わぬ病のため果すことができませんでした。
ところが、たまたま何人かの友だちが集まられたとき、遺稿集を出そうということになりました。それから、その方たちは忙しい中をたびたび集まって、ノートや日記帳にまで目を通して、何度も選びなおし、この遣稿集を編集してくださいました。夫はこんなかたちで第三集が出版されようとは夢にも思ってなかったでしょう、改めて深い友情に感謝していることと思います。
掲載の作品は最後の創作集だからというので、小説だけでなく、随筆、日記、書簡などをいれることになったようです。
深い友情をもって序文をお寄せいただいた劉先生、心の中にじっと温めていた想い出を折りこみに綴ってくださったみなさま方、印刷に対してこまかく心をくだいてくださった博文堂の安村さん。私には、深い感謝の微笑をたたえている夫の顔が目の前に見えるような気がいたします。ほんとうにありがとうございました。
(「あとがき/空栞」より)
目次
序文 劉寒吉
・雲
- 砂丘の町
- 泥濘
- 天草の旅
・水
- 信仰について
- 文化と文明
- 舌間君に答う
- 教育の素人と玄人
- 教育者としての悲願
・花
- 蜂と杏
- 劉さんと岩下さん
- 私の顔
- 恩師のこと
- Sさんへ
- 小説について
- 風の便り
- 友情
- 中央と地方のこと
- 教師と文学
- 教頭論義
- 国語雑感
- ゲルニカ
- 思い出
- 還らぬ人
・風
- 風塵
- 病中日記
- 書簡
年譜
思い出の記
あとがき 空栞