2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

路地裏から 1981年春-秋  関根弘

1982年3月、草思社から刊行された関根弘のエッセイ集。 目次 春 クリスタル族 三月十一日 百花園 三月十四日 よくないじゃないか 三月二十一日 労働貴族 三月二十九日 後楽園 四月七日 労働者の問題 四月十四日 葛飾北斎 四月十八日 喜多川歌磨 四月二十三日…

サンチョ・パンサの帰郷 石原吉郎詩集

1963年12月、思潮社から刊行された石原吉郎の第1詩集。現代詩人双書10。 <すなわち最もよき人びとは帰っては来なかった>。<夜と霧>の冒頭へフランクルがさし挿んだこの言葉を、かつて疼くような思いで読んだ。あるいは、こういうこともできるであろう。…

わが祝日に 新延拳詩集

2001年12月、書肆山田から刊行された新延拳の第5詩集。装幀は亜令。 今回の詩集収録の詩を書いている期間は時間というものに興味をもっていた。ある時期からそのことに気がついた。まさに「輝きのない人生のくる日もくる日も、一様に、時間がわれわれを運ん…

紙飛行機 新延拳詩集

1994年2月、紙鳶社から刊行された新延拳の第2詩集。付録栞は真下章「新延拳さんについて」。 現代詩の多様性を楽しんでいる。詩人の数ほど詩型があり、内容・志向するところも千差万別。ただし、そのさまざまな系譜、歴史を丹念に継いている時間は、当面はな…

朱霊 葛原妙子歌集

1970年10月、白玉書房から刊行された葛原妙子(1907~1985)の歌集。昭和38年7月から昭和45年7月までの716首。第5回迢空賞受賞作品。画像は函欠本。 目次 ・西冷 西冷 雪鉢 晴る 瞬く 影鳥 鹿の醫 玉蟲 母子 ・魚 いなびかり 魚 薄明 刈草 黒聖母 紙霊 楽想 …

やがて来る飛翔の時を前にして 進一男詩集

2004年6月、詩画工房から刊行された進一男(1926~2015)詩集。 目次 飛ぶがいいと言った あなたのことを 秘められてあるもの 木々も空しく 落日と死者たち 古い日のランプ 言葉と生と死と 鳥 飛ぶものたち あの日 深い淵から 深い夜の中で それを何と名付け…

橋上の人 鮎川信夫詩集

1963年3月、思潮社から刊行された鮎川信夫の詩集。現代日本詩集12。装幀は真鍋博。 目次 1 ギリシャの日傘 名刺 夏のsouvenir 2 室内 夢見る室内 椅子 十二月の椅子 雨をまつ椅子 雨の歌 カタストロフ 睡眠 白い像 形相 形相 3 神(こころ) 神々 雨に作…

愛と詩ものがたり 金子光晴

1973年9月、サンリオ出版から刊行された金子光晴の少女向け詩論集。装幀は倉島千賀子。 この本は、何年か前に、抒情文芸という少女向けの雑誌が出ていて、それに連載していた詩作法をあつめ、小序、跋文などの他に、前と後に書き加えて、体裁を装えたもので…

猟女犯 元台湾特別志願兵の追想 陳千武/保坂登志子

2000年1月、洛西書院から刊行された陳千武(1922~)の小説。翻訳は保坂登志子。表紙・装画は保坂陽一郎。 太平洋戦争という大波瀾に遭遇し、私は台湾特別志願兵として、ティモール島濠北防衛作戦に参加した。台湾高雄港を出航、シンガポール、ジャワ、ティ…

戦死 室生犀星

1940年12月、小山書店から刊行された室生犀星の短編小説集。 「いとど寺前」と「草山水」とは私の庭から續いてゐるやうなきれぎれに光る風俗情景であって「くちなは」を入れるとさらに一作家の日常生活のほどがわかる。「緑色の日記」もそこにならんでゐる雑…

青の歴史 南江治郎詩集

1965年12月、新詩潮社から刊行された南江治郎の第3詩集。附録栞は、金子光晴「南江治郎の詩」、能村潔「南江治郎について」、村野四郎「詩集『壺』について」。 目次 花 青の歴史 花三題 花三題 花芯帖 花に寄せて 少女のいる風景 夕陽の中の少女 スリー・プ…

評伝新居格 和巻耿介

1991年12月、文治堂書店から刊行された和巻耿介(1926~1997)による新居格(1888~1951)の評伝。表紙似顔絵は柳瀬正夢。 暑い日だった。 大塚製薬グループPR誌「大塚薬報」編集長の大坂峯子さんを煩らわして、わたしは鳴門市大津町大幸にある新居格の生地…

野の草 ある印刷女工の歩み 石倉千代子

1981年4月、日本婦人会議出版部から刊行された石倉千代子の自伝。装画は鶴田知也。 目次 Ⅰ 幼年工 肉親たち 米騒動とスペイン風邪 Ⅱ ストライキ 働く母親たち 幸せな日日の大衆娯楽 はじめてメーデーを知った日 女工たち Ⅲ 大地震 第二のストライキ 労働組合…

パビリオン TOKYOの町 関根弘

1986年5月、創樹社から刊行された関根弘(1920~1994)のエッセイ集。 目次 神楽坂 山田紙店の原稿用紙 日本橋 芸者のお酌で酒 深川 新吉原の仮宅 早稲田 大学付近各種飲食店 田端 大日本インキの煙突 日暮里Ⅰ 三輪車で転んだ傷 日暮里Ⅱ 安八百屋を探す 尾久…

薔薇と夜と道化たち 進一男詩集

2005年1月、本多企画から刊行された進一男(1926~2015)の詩集。 目次 薔薇 聖なる夜のために 聖ピエロあるいは黄昏の道化たち あとがき NDLで検索Amazonで検索日本の古本屋で検索ヤフオクで検索

追熟の森 白石公子詩集

1992年2月、思潮社から刊行された白石公子(1960~)の第4詩集。 とてもうれしい詩集ができあがりました。少し恥ずかしいのですが、前の詩集から十年も経ってしまった、ということになります。[I]は現代詩手帖(一九九七年五月号~一九九八年七月号)に連載し…

叔父さんの魔法 菅原克己詩集

1975年4月、朔人社から刊行された菅原克己(1911~1988)の詩集。 この詩集は『現代詩文庫』以後、三年間の作品をまとめたもので、ぼくの六番目の詩集にあたる。最初の詩集『手』は昭和二六年に出したが、当時、それだけでせい一杯のぼくには、六冊の詩集を…

時計の歌 野口昭子

1985年11月、全生社から刊行された野口昭子(1916~2004)のエッセイ集。野口は整体の野口晴哉未亡人。 目次 余白 萌 音楽の思い出 酒 書の思い出 天行健 と思い込む 時計の歌 見る 念 梅の秘密 感じる 時間と時計 オンリー・ワン 予知 一本橋 最初のボタン …

海――友よ 私が死んだからとて 長沢延子

1972年2月、都市出版社から刊行された長沢延子(1932~1949)の遺稿集。画像は重版。解説は黒田喜夫。 目次 *印は詩 Ⅰ 友よ私が死んだからとて 友へⅠ 友へⅡ *旅立ち *涙 *便箋 *招待 私は誰よりも深く生を愛したのだ *雲 肉体と魂 *鏡面 かつて多感なりし日 …

馬車の出発の歌 小熊秀雄賞受賞詩人集

1982年11月、小熊秀雄賞受賞詩人集刊行会から刊行されたアンソロジー。装幀は谷口広志、装画は小熊秀雄。 目次 友田多喜雄 : 死んだ村/名付け方/十度目の根雪に/一九七〇年六月二十三日/バッタ塚/雪の歌/正倉院へ/胸底で 萩原貢:残響―赤岩にて/残光…

臨月と帽子 岩崎迪子詩集

1992年5月、思潮社から刊行された岩崎迪子の第4詩集。装幀、装画は三嶋典東。 これらの作品をまとめるにあたって、改めて感じたことは、自分の内側にある像が、身体や現実を裏切って、見たくないもの、怖いものに変身してしまうことです。書く度に言葉の鏡が…

再会 梶原しげよ詩集

1990年6月、書肆山田から刊行された梶原しげよ(1920~2015)の第10詩集。装幀は青山杳。 二十九年も住んでいた家を出て、おそらく終のすみかとなるであろう他郷への転居は、これまでの生涯のなかでもあまり数多くない大きな体験の一つであった。とはいって…

火は森を狂わせるのか 星野守詩集

1998年11月、ふらんす堂から刊行された星野守(1954~)の第1詩集。装幀は君嶋真理子。 目次 Ⅰ 1974~ 俯瞰図 黒いラブレター 子午線上の季節 このぬける夜には… 水泡 光へ(冬) 幼年 記録 焦燥 七月 夢 遠い秋に(T.T.へ) 失愛 木箱そして雨空 服毒 水宮…

冬の犬 松井久子詩集

1990年5月、花神社から刊行された松井久子の第1詩集。装幀は熊谷博人。 目次 Ⅰ 散歩 夏の夜 ある形 傷 橋の上で 真夜中のバラ 白い壁 鏡とナイフ Ⅱ 正しい休日の過ごし方 ハイウェイ 女優 砂の池 ひまわり Ⅲ 黎明 肩 一本のテープ ヘリコプター 木枯らしの寺…

現われるものの朝 垂水千賀子詩集

1977年5月、紫陽社から刊行された垂水千賀子の第1詩集。装幀は廣田茂。 目次 Ⅰ 現われるものの朝 反乱する内部 大理石の板の上を 真理Ⅰ 真理Ⅱ アンニュイ Ⅱ ここにこうしていると 侵入者 指の不安 生きつづける肉 待っている Ⅲ 窮極を 伝えられるものが ミソ…

春分 中本道代詩集

1994年7月、思潮社から刊行された中本道代の第4詩集。絵は中西夏之。装幀は直野宜子。付録栞は吉田文憲「正午、正午の消滅」。 現象は、目に見えないもの、知覚することのできない大きなものの出現に過ぎない。私たち自身が現象であるのだから、私たちにわか…

半裸の日々 稲垣瑞雄詩集

2008年9月、思潮社から刊行された稲垣瑞雄(1932~2013)の第7詩集。装画はジョルジュ・スーラの”Theanchor”。 目次 蜂の時間 蜂の時間 姫鱒の暦 梟の夜明け 箆鮒の季節 海鞘の夕べ はためく日々 はためく日々 開く朝 顫える夏 経巡る月 ほとばしる午後 半裸…

サリンジャーは死んでしまった 小島なお歌集

2011年7月、角川書店から刊行された第2歌集。装画は井筒啓之、装幀はトリプル・オー。 目次 サリンジャーは死んでしまった 声もたぬ樹 建築物 夕焼けの壁 泡 グランドピアノ 人および動物 成長痛 秋の手摺り 鴉のごとく 春の核家族 ひとの群、犬の群 画用紙…

乱反射 小島なお歌集

2007年7月、角川書店から刊行された小島なお(1986~)の第1歌集。付録栞は馬場あき子「小島なおさんの歌を詠む」。 わたしの初めての歌集です。十七歳から二十歳までの作品二七四首を収めました。歌のこともこれからの自分のこともわからなくて、とても不安…

海のオルガン 小市邦子歌集

2013年10月、いりの舎から刊行された小市邦子の第1歌集。 目次 小市邦子歌集『海のオルガン』に寄せて 高崎亘代 Ⅰ 一九八六年五月―一九九九年 手紙 職場 森山健一郎先生 ベトとドク 眠り姫 バレエ 対き合ふ ワンダーフォーゲル部 動線 恋した茱萸 残留孤児三…