1960年6月、世代社から刊行された牟礼慶子(1929~2012)の第1詩集。装幀は長尾みのる(1929~2016)。解説は鮎川信夫(1920~1986)。
牟礼さんの詩に、私が初めて接したのは、六、七年前のことであつたと思う。この詩集の第Ⅰ部に収められている「山羊」「ポプラ」「巨人」などに、たいへん心を惹かれた。その頃にはまだ抵抗詩などという似非社会詩がはやつていたので、一見、静かで内省的な、それでいてどこかユーモアをたたえた牟礼さんの詩は、周囲の騒がしさにひきくらべて、ひどく際立つた落着きを感じさせたものである。そこには、自分の世界をしつかりまもつて、出しやばりでもなければ引つ込み思案でもない、確固とした個の充実があつた。(「解説」より)
目次
Ⅰ
- 愚かな弁明
- 魔法
- 支度
- 半分
- 計算ちがい
- 山羊
- ポプラ
- 巨人
- 考える
- 処世術
- 冠
- 霧
- 庭の中
Ⅱ
- 幻の人
- 果報
- 来歴
- にせものの神
- 捧げもの
- 悪い男
- 猟人
Ⅲ
- 身許不明
- 満身創痍
- 霧の時代
- 問わねばらならい
- 苦い風景
- 私たちの未来のために
- 遺産
- 明日は
- 不在の論理
- 落日
- 薔薇色の夜明け
- 未来へ
- 新しい景色
Ⅳ
- 見知らぬ恋人
- 青春遺棄
- ふたつの春について
- 感傷旅行
- 挑戦状
- 虫のいい願い
- 空との対話
- すばらしい海
解説・鮎川信夫
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