2014年3月、Tokyo Publishing House から刊行された川崎長太郎(1901~1985)の随筆集。編者は平出隆(1950~)と齋藤秀昭。《crystal cage》叢書の1冊。
本書には、小田原、箱根、伊豆といった土地にまつわって書かれた川崎長太郎の随筆から、大戦中のものまでを一巻にまとめた。単行本に未収録のものばかりである。
背景は関東大震災から第二次世界大戦にまでわたっている。アナーキズム系の詩人として出発し、やがて私小説家として歩み出す道程を考えると、本書に切り取られた時間における、書き手の位置の移りは興味ふかい。(「編者解題/平出隆」より)
目次
- 滅びた小田原より
- 閑日
- 『姫の水』の記
- 箱根のこと
- 世間話
- 魚屋三代記
- 夏景色
- 伊豆の半日
- 昨今
- 裸の暮
- 煮詰つた町
- 猟師の言葉
- 小田原茸
- 若葉の山
- 浜寝の記
編者解題